後悔しない秘訣

昨日の日記で「いつなんどき変な圧力がかかって出版差し止めとか回収とかになるかもわからないから」と書いたが、これはすなわち、「あとで後悔しないよう今のうちに買っておく」という意味である。買って後悔するか、買わずに後悔するか、これは千古不易の…

超自然的恐怖原理主義者たちに抗して

巷で「ホラーより怖い」と人気大沸騰中なようなので拙豚も一本を贖った。いつなんどき変な圧力がかかって出版差し止めとか回収とかになるかもわからないから。 もしかすると超自然的恐怖原理主義者の方々から、「こんなものをホラーと呼ぶとは何事ぞ! 恐怖…

謎のDeepL

巷で噂のDeepL翻訳をちょっと使ってみた。 原文 Y hasta podría pensarse que lo más importante de esa obra, salvo que todo es importante, es - la amistad de Virgilio y de Dante; porque Dante sabe que él se salvará, y sabe que el otro está cond…

紙片は告発する

ディヴァインは好きな作家だ。社会思想社のミステリボックス時代にはよく読んだ。でも長いあいだ作者は女性かと思っていた。女性が視点人物になることが多いし、女性の心理描写に容赦がなく、また往々にしていかにも女性作家らしい結末で締めくくるから。実…

ライノクス殺人事件

シンプルなトリックを圧倒的なケレン味で包み込む、日本でいえば、『○○○○○○○○殺人事件』を連想させるような作品。ちなみに『○○○○○○○○殺人事件』は評価が真っ二つに分かれた問題作だが拙豚は傑作と思う。『ライノクス』もこれと同じくらいに、読者の目をくら…

探偵を捜せ!

有名な作品だが今回初めて読んだ。舞台は山の上に一軒だけ建つ山荘。その管理人は急用のため山荘を去り、客のウェザビー夫婦と小間使いだけが残された。ウェザビー夫人は遺産目当てに夫を殺してしまう。ところが夫は死ぬ直前に、探偵を雇ってここに来るよう…

水平線の男

何を隠そう、拙豚は還暦をとうに越えた爺である。いかに爺かというと、こんな ↓ 本が新刊書店で買えたほどの爺なのである。 これを買ったのは岡山の細謹舎という書店だ。今はもう跡形もないけれど、半世紀前は(丸善や紀伊国屋なんかのチェーン店を除けば)…

100%アリバイ

「異色作に名作なし」といわれる。どうにも褒めようがなくて困ったときは「問題作」とか「異色作」とか「この著者のファンなら必読」とか評してお茶を濁すものらしい。果たしてこの本の帯にも「異色作」と書いてある。「探偵小説の常識をくつがえす異色作」…

おうむの復讐

外出自粛をいい機会に、本の整理をぼちぼちと進めている。ただ面白そうな本が発掘されると読みふけってしまうので整理は遅々として進まない。むしろ散らかる一方ともいえよう。発掘された本の一冊がこれ ↓ 、アン・オースティンの『おうむの復讐』である。こ…

アトム式

むかしむかし、今は亡き安原顕氏が仕切っていたころのメタローグから『私の外国語上達法』という本が出ていた。その中でちょっと名を思い出せない英文学者の方が「アトム式」という方法を紹介していた。このアトムというのは例の鉄腕のではなくて学生社から…

『怪と幽』4号

怪と幽 vol.004 2020年5月 (カドカワムック 828)作者:京極 夏彦,小野 不由美,有栖川 有栖,恒川 光太郎,近藤 史恵,山白 朝子,荒俣 宏,小松 和彦,諸星 大二郎,高橋 葉介,波津 彬子,押切 蓮介,東 雅夫発売日: 2020/04/28メディア: ムック 『怪と幽』4号で荒蝦…

ロバート・フリップ「白鳥の湖」を踊る

ロバート・フリップ 「白鳥の湖」を踊る www.facebook.com ロバート・フリップ 薔薇の花をくわえてタンゴを踊る www.facebook.com ロバート・フリップ 蜜蜂になって走り回る www.facebook.com いずれもトーヤのフェイスブックより。amass.jp経由で知った。蜜…

アヤナミとぞうさん

戒厳令の中でも、わが家近くのブックオフは果敢に店を開け続けている。今日はそこで上 ↑ のようなCDを買った。クレジットによると1975年のレディングフェスティヴァルでの録音らしい。"Last Bundle"とはいうもののアラン・ホールズワースはもういなくてギタ…

小説がヘタなわけではない

ゴーレム (白水Uブックス)作者:グスタフ・マイリンク発売日: 2016/09/14メディア: Kindle版 念のため見たら白水Uブックスの『ゴーレム』も今は電子書籍でしか売っていない。しかしこの本は何度か版を重ねたのではなかったか。『ゴーレム』といい『ワルプルギ…

マイリンク品切増刷未定

国書刊行会のサイトで『ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集』がいつのまにか品切増刷未定になっておりました。ということはたぶん初刷分を売り切ったのだと思います。お買い上げくださった皆さん、ありがとうございます。とはいえ、まだ取次には若干在庫…

少女とテレパシー

理由 (朝日文庫)作者:宮部 みゆき発売日: 2002/08/01メディア: 文庫 宮部みゆきから好きな作品を三作、と言われれば『火車』『理由』『模倣犯』それから別格として『ステップファーザー・ステップ』を挙げたい。たぶんこれは大方の評価とそんなに変わりはな…

東京脱出!

コロナ禍のおかげで、今夕にも帝都に緊急事態宣言が出そうな気配である。そのあおりを喰ってか、東京脱出の動きがあるという。拙豚の故郷は例の一時間以上ゲームができない恐怖の県であって、帰ろうと思えば帰れないこともない。でも自宅にとどまるつもりで…

アンソロジーの終わりかた

怪奇小説傑作集4<フランス編>【新版】 (創元推理文庫)作者:G・アポリネール 他発売日: 2006/07/11メディア: 文庫澁澤龍彦の編纂による『怪奇小説傑作集4』はアンソロジー史に残る名アンソロジーだと思う。と言うと一知半解の徒は「あれはカステックスのアン…

ボルヘスとフォークランド紛争

年配の方はご存じだろうが、今から四十年ほど前、フォークランド紛争というものがあった。アルゼンチンの沖合にフォークランド諸島というちっぽけな島々があり、ここは昔から領有権がはっきりしていなかったようだ。というか、イギリスとアルゼンチン双方と…

紙ペーパー

拙豚が小学生のころ、図工の時間に「紙ペーパー」なるものを使っていた。と言うと、えっなにそれ? 紙ペーパーって要するにただの紙じゃないの? と皆さん疑問に思われるだろうが、当時はサンドペーパーのことをそう呼んでいた。「砂ペーパー」とも呼ばれて…

ポーと乱歩

日本探偵小説全集〈2〉江戸川乱歩集 (創元推理文庫)作者:江戸川 乱歩発売日: 1984/10/19メディア: 文庫 ポーといえば乱歩である。少なくとも日本では。その乱歩が、ポーのストーリーを自己流に料理してみたいと思っていたということが、たしか『探偵小説四十…

過去未来の文学

ラテン系の人たちは時間にルーズだというイメージがある。でもなぜかスペイン語やイタリア語の時制はやたらに複雑である。天下の奇観といっていい。むかしはラテン系の人たちも時間にきちょうめんだったのだろうか。それとも文法が煩雑なおかげでその反動が…

文学フリマ岩手開催なるか?

第五回文学フリマ岩手は6/21に予定されている。先日その事務局から出店料の支払案内が来た。サテこれは順調に開催されるだろうか。6月には自粛ブームもさすがに落ち着いていると思いたいが……。出店料の締め切りは3/30ということだ。ぎりぎりまで様子を見て危…

文学フリマ東京開催なるか?

ザ・ナイト・ウォッチアーティスト:キング・クリムゾン発売日: 2019/03/27メディア: CD パンデミック騒動のおかげで、5月6日に予定されている第三十回文学フリマ東京も雲行きが怪しくなってきた。おそらくキーとなるのはこれに先立って5月2~5日に予定されて…

ネクロノミコンはなかった

マドリッドのパリぺブックスなる版元が『ボルヘスの書棚』なる本を出したことをたまたま知り、すかさず注文した。 届いたのはかなりの大型本だ。どのくらい大きいかがわかるように隣に荒俣御大の『世界幻想作家事典』を置いてみた。『書物の宇宙誌―澁澤龍彦…

ぬか漬けのきゅうり

少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫)作者:夢野 久作発売日: 2016/08/31メディア: 文庫 吾妻ひでおの『アル中病棟』によると、アル中になった人の脳は、ぬか漬けのきゅうりが生のきゅうりに戻らないように、もとに戻ることはないのだという。アル中なら…

みえすいた嘘

ボルヘス『伝奇集』:迷宮の夢見る虎 (世界を読み解く一冊の本)作者:今福 龍太発売日: 2019/12/13メディア: 単行本今福氏のボルヘス本のどこがいいのか。今まで必ずしも十分に論じられていなかった詩作品が俎上にあげられているのも嬉しいし、「読書家ボルヘ…

ボルヘスとパンデミック

殉教 (新潮文庫)作者:由紀夫, 三島メディア: 文庫三島由紀夫の中篇『三熊野詣』に自分の周りをアルコールで丹念に拭きまくる老歌人が出てくる。巷の噂では折口信夫がモデルらしい。むかし読んだときには「えらい神経質な人だな」としか思わず、変な人を見る…

続続吉田訳ポー

吉田健一訳ポーの特徴を見るためには、おそらく「アモンティラドの樽」の最後の一文が最適ではと思う。これの原文は For the half of a century no mortal has disturbed them. In pace requiescat! これを田中西二郎はこう訳した。 あれから半世紀、何者も…

文学フリマ広島の超収穫

遅くなりましたが二週間ほど前に行われた第二回文学フリマで遭遇した恐るべき本を紹介したいと思います。組糸座(くみとざ)という謎のサークルが頒布する十夜木文麦という方の三冊です。下の画像の左から「いろはなとり」「にしのことりことつきのよる/きた…