2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

レルネット=ホレーニアのことなど

*白羊宮の火星 (福武文庫)作者: アレクサンダーレルネット・ホレーニア,前川道介,平田達治出版社/メーカー: 福武書店発売日: 1991/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る* レルネット=ホレーニアの未訳幻想ミステリ三作(『両シシリア連隊』…

生きてゐる深堀

S-Fマガジン 2010年 10月号 [雑誌]早川書房Amazon SFマガジン10月号に深堀骨の短篇が載っている。その名も『日本怪談全集』。おお懐かしや。ネット上で例の「キーポッポ」を読んだのは、もう何年前になるのだろうか。それに待望の新作は、なんとうれしいこと…

オグニ・モート・アテンデ・アル・スオ・マンテニメント

神保町は専修大学寄りの一角で「女の九割は殺せ!」「全人類を立方体にすれば一辺700メートル*1」「哺乳類はおっぱい好き」などと夢たをやかな密咒を誦すてふ犬神のやうな黄老(おきな)がついに動き出したそうな。聞くところによればリミッターを自ら解除し…

たまには日記らしく

* たまには日記らしく最近の出来事などを。 * 今年の冬の祭典にはレム本新刊を三冊出すことを発作的に思いつく。小説、エッセイ、書簡各一冊。今回は数で勝負だ! 国書刊行会版作品集に収録予定の作品はもちろん遠慮することにして、小説はポーランド本国…

痛茶とともに2(黒死館の巻)

日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)作者:小栗 虫太郎東京創元社Amazon 粗製濫造の新書集団に埋もれながらも、クセジュ文庫はいまだに本屋の一角を固守している。頼もしいではないか。ペンギンブックス(青版)を範とした岩波新書を遠い先祖と…

痛茶とともに1(綺想宮の巻)

綺想宮殺人事件作者:芦辺 拓東京創元社Amazon今年もコミケの季節になった。さいわい気温もそれほど高くない。そこでいそいそとりんかい線に乗り込み、痛茶とともにCRITICAと黒死館逍遥との最新号を買ってきた。拙豚にとって大枚1500円を払ってCRITICAを購入…

ある『アムネジア』論をめぐって4

*アムネジア作者: 稲生平太郎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (40件) を見る* 『アムネジア』はまだ見つからない。もう探すのも億劫になってきた。本を探しているとだんだんと部屋…

ある『アムネジア』論をめぐって3

*アムネジア作者: 稲生平太郎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (40件) を見る* 『アムネジア』はまだ見つからない。ひきつづき現物を見ずに話を続けることをお許し願いたい。 * ア…

ある『アムネジア』論をめぐって2

アムネジア作者:稲生 平太郎メディア: 単行本『アムネジア』はまだ見つからない。不本意ながら再読せぬまま続けねばならない。 この小説には一つのシンボルが登場する。それはまず縦の線がさっと引かれ。そこに横の線が三本交わった形をしている。はやくいえ…

特別な長所

文学フリマって何か特別な長所あるのかな。 * 文章系同人がサークル参加する場合、長所はたくさんあります。 当選率が高い。(場所が蒲田になってからは今のところ抽選なし) 参加費が安い。(7,500円対4,000円) 環境が優しい。(酷暑酷寒怪臭肉壁と無縁。…

ある『アムネジア』論をめぐって1

*論理の蜘蛛の巣の中で作者: 巽昌章出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/10/13メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (24件) を見る* 昨日触れた石堂藍さんの『アムネジア』論はたいへんな力作であって、通り一遍の読み方しかしなかった拙…

あなたはそれを……

* 石堂藍さんの『アムネジア』論 「あなたはそれを探してはならない」 が公開された。あの稀有の書に対するたぶんいまのところ唯一の論であろう。密度の濃い文章はゆっくり腰を据えて読むことを要請している。しかしその前に『アムネジア』を再読せねばと思…

「ポエティック・クラッシュ」

*文学界 2010年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/08/07メディア: 雑誌 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る* 文学界九月号に「ポエティック・クラッシュ」という巧緻な短篇が載っている。沢渡と漣という二人の詩人による…

『搖籃』

* 先日日記で書いた一万円の矢野目源一『搖籃』が売れたようだ。「日本の古本屋」で検索したらいつのまにか在庫から消えていた。二千円で買えるものに一万円出すとは奇特な方もおるもんじゃのう婆さんや。 それともまだ在庫があることを世間の人は知らない…

メタモルフォーズの秘技

*音迷宮作者: 石神茉莉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/29メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見る* 一読して驚いた。もしかしたら前代未聞の書かもしれない。 たとえばジャズにはスタンダードナンバーというものがある…