ホームズ

ひとつ間違っていたら

基本英単語シリーズ第二回は "return"。 ホームズの短篇集のタイトルでも、adverntures (冒険)とか memoirs (回想)などはいかにも適当かつ安直で、ことさら冒険なり回想なりにする必然性は乏しい。だが第三短篇集の return には「これでなくては!」という感…

謎の覆面ゴールキーパー

初歩からのシャーロック・ホームズ (中公新書ラクレ, 706)作者:北原 尚彦発売日: 2020/11/06メディア: 新書 発売するやたちまち怒濤のごとく売れに売れ、わずか一週間で重版が決まったといわれる北原尚彦さんの『初歩からのシャーロック・ホームズ』。勢いに…

アトム式

むかしむかし、今は亡き安原顕氏が仕切っていたころのメタローグから『私の外国語上達法』という本が出ていた。その中でちょっと名を思い出せない英文学者の方が「アトム式」という方法を紹介していた。このアトムというのは例の鉄腕のではなくて学生社から…

峯太郎ホームズの美点その他

山中峯太郎訳のホームズについては前にも書いたが、いまだその魅力から離れられず、とうとう古本屋でポプラ社版の安いのを見つけたら買うようにまでなった。病膏肓に入ったというべきか。フッフッフー。 峯太郎訳はたしかに超訳・怪訳には違いないのだが、わ…

黄色の研究

外国語の色の名は、訳すのが簡単なようで案外難しい。たとえば"purple"。「紫でしょ。ディープ・パープルっていうじゃない」と言われる方もいるだろう。ところがディープでないただのパープルは、日本語でいう紫よりもっと赤みがかった色らしい。とりわけ古…

ドイル手強し

十八時の音楽浴―漆黒のアネット (ガガガ文庫)作者:ゆずはら としゆき小学館Amazonコナン・ドイルの超訳(らしい)『白の団と黒い王子 好きになったあの子の父は決闘マニアの殿様だった』はその後グングン順位をのしてきて、『ボリバル侯爵』を蹴散らすにいた…

好敵コナンドイル

*白の団と黒い王子 上作者: コナンドイル,三輪士郎,小池倫太郎,秋元一剛出版社/メーカー: 笠倉出版社発売日: 2013/12/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る* honto(元BK1)の歴史・時代小説部門で『ボリバル侯爵』が20位にランクイン! …

われわれに残されたよい習し

*ラッフルズ・ホーの奇蹟 (ドイル傑作集5) (創元推理文庫)作者: コナン・ドイル,北原尚彦,西崎憲出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2011/12/21メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (12件) を見る* 聞くところによると東京創元社…

プロットよりも友情が大事

ボ氏のインタビューより。インタビュアーはオスバルド・フェラーリという人。 妹のノラといっしょに、シャーロック・ホームズの物語を再読したことがあります。それはまるで過去に帰ったようなものでした。というのも、もう何年も前、世界のあちこちで二人で…

火曜日ラビは偽書を出した

*The Golem and the Wondrous Deeds of the Maharal of Prague作者: Yudl Rosenberg,Curt Leviant出版社/メーカー: Yale University Press発売日: 2008/08/19メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る* 20世紀のはじめ、コナン・ドイル…

『怪の物』(「ゴシック名訳集成 西洋伝奇物語」)

ゴシック名訳集成 西洋伝奇物語 伝奇ノ匣7 (学研M文庫)学研プラスAmazon ついに出た『ゴシック名訳集成』。そのなかでも一番のページ数を占めるのはおなじみ涙香先生の「怪(あやし)の物」です。原作者はエドモンド・ドウニーというイギリスの作家。イギリ…