都筑道夫

『手招く美女』

世間ではとうに『マゼラン雲』とか『ホフマン小説集成上』とかが出ているというのに、今日ようやく『手招く美女』のページを開いた。最近の国書の刊行ペースについていくのは老残の身にはなかなかハードである。巻頭の「手招く美女」はむかしむかし牧神社の…

続・古老が語るモダーン・ディテクティヴ・ストーリイ

(これは昨日のツヅキです) モダーン・ディテクティヴ・ストーリイ(以下MDS)という言葉は、高校生のころ、新潮文庫に入っていた福永武彦『加田伶太郎全集』に付された都筑道夫の解説で知ったのだったと思う。 しかし『加田伶太郎全集』を読んだ当時の生意…

古老が語るモダーン・ディテクティヴ・ストーリイ

都筑道夫といえばモダーン・ディテクティヴ・ストーリイ(以下MDS)論である。これを自分は高校生のときほぼ同時代的に読んで、いろいろ思うところがあった。そこでこの機会に古老の昔話をしておこう。なにしろ老耄のことゆえ、いつボケて昔のことを忘れるか…

『都筑道夫創訳ミステリ集成』の楽しさ

都筑道夫創訳ミステリ集成作者:ジョン・P・マーカンド,カロリン・キーン,エドガー・ライス・バローズ,新保博久,堀燐太郎,平山雄一作品社Amazon 翻訳を依頼されたはいいけれど、「こんなつまらんものを訳してられるか!」とぶち切れて(かどうかは知らないが…

読ホリディ

都筑道夫の読ホリデイ 上巻作者:都筑 道夫フリースタイルAmazon いま書いているペルッツ新企画のあとがきで『都筑道夫の読ホリデイ』を参照する必要が出てきて手にとったのが運の尽き、その面白さに引きずりこまれてたちまち上下巻を読破、あとがきは一向に…

アンソロジーの終わりかた

怪奇小説傑作集4<フランス編>【新版】 (創元推理文庫)作者:G・アポリネール 他東京創元社Amazon 澁澤龍彦の編纂による『怪奇小説傑作集4』はアンソロジー史に残る名アンソロジーだと思う。と言うと一知半解の徒は「あれはカステックスのアンソロジーが種本…

Yes, Yes, and Yes

聖ペテロの雪作者:レオ ペルッツ国書刊行会Amazon いよいよ今週末に迫る『聖ペテロの雪』発売。なにとぞよろしくお願いいたします。今回は〈ペルッツ・コレクション〉全四巻完結祝賀ということで、『教皇ヒュアキントス』や『動きの悪魔』の驥尾に付し椀飯振…

名探偵論争を再読して

本棚の隅から佐野洋の『推理日記II』が出てきた。つい読みふけってしまった。 この本のハイライトは都筑道夫と名探偵の是非を巡って意見を交換したいわゆる「名探偵論争」だ。しかしこの論争、両者の言い分がまったく噛み合ってなくて、読み進むうちに苦痛さ…

都筑道夫はやはり凄い

都筑道夫 ポケミス全解説作者:都筑 道夫フリースタイルAmazon 引き続きビオイ=カサーレスの日記を読んでいる。こんなことで冬の祭典に間に合うのだろうか。それはともかく、1953年11月18日の項にはこうある。 二人で北アメリカのまぬけな作家たちの一人につ…

脅迫しない脅迫者の謎

ウォンドルズ・パーヴァの謎 (KAWADE MYSTERY)作者:グラディス ミッチェル河出書房新社Amazon こういう本を読むと「やはり英国ミステリはいいなあ」と思う。なにしろ謎がコテコテに盛られているから。それでいて物語はゆったりと流れ停滞しないから。弁護士…

風呂で読書

mixiのマイミクさんのところで、風呂の中で本を読むかどうかという話題が。 もちろん読みますとも。下の写真は愛読した都筑道夫「推理作家の出来るまで (下巻)」の図。古書ではなく新刊で買ったものだが、十分もとは取った……と思う。あとは処分するかしまい…

「不愉快な怪談になる以前のもの」

妖異博物館 (ちくま文庫)作者:柴田 宵曲筑摩書房Amazon幽霊通信 (都筑道夫少年小説コレクション (1))作者:都筑 道夫本の雑誌社Amazon 「妖異博物館」と「都筑道夫少年小説コレクション」が相次いで出た。もちろん偶然に決まってるが、絶妙の組み合わせだと思…

『怪奇礼讃』

相変らずポツポツと読み続けています。こういう本を一時に読むのはもったいなさすぎる。先に同じ版元から出た『怪談の悦び』が燦めくマスターピースばかりを集めた宝石箱だとすれば、この「怪奇礼賛」は、どこかの修道院からでも発掘された古文書の抜書きの…