どんでん七傑


 

『本の雑誌』3月号の特集はどんでん返しである。ついにどんでんが来たか!——と言うと違う意味になってしまうが、ともかく表紙にはでかでかと「どんでん返しが気持ちいい!」とうたわれている。

さっそく特集の驥尾にふし、読後あぜんとしたどんでん返し七傑を選んでみた(発表年順)。「ただし叙述トリック系は除く」という縛りを入れてみました。

1. チェスタトン『木曜の男』(1905)
2. 夢野久作『ドグラ・マグラ』(1935)
3. ジャン・レイ『マルペルチュイ』(1943)
4. グレアム・グリーン『情事の終わり』(1951)
5. ピエール・ブール『猿の惑星』(1963)
6. 三島由紀夫『豊饒の海』四部作(1969-71)
7. 乾くるみ『リピート』(2004)


以下一言コメント。

1. 昔の創元推理文庫ではハテナおじさんマークで出ていた。これは詐欺ではあるまいか。
2. 中盤で発せられる「どうだ、読んでしまったか」の一言の衝撃。発狂者続出というのも肯ける。
3. なんだこれは。いったい作者は何を考えているのだ。
4. 前半はパトリシア・ハイスミスみたいな変態すれすれの愛の物語。後半で一挙に幻想小説に化す。神話と宗教の差こそあれ殊能将之の『黒い仏』に一脈通じる怪作。こういうシリアスな文学は苦手なので読み方が間違っているかもしれないが……
5. 映画版とは結末が違って二段落ち。ウルトラQでいえばカネゴン風の終わり方である。出口なし。
6. 今まで築いてきた伽藍を紙屑みたいに丸めて捨てる暴挙。読まなきゃよかったと読後鬱になった。
7. いわゆる新本格以降のミステリから一作。運命というものを考えさせられた。