読者への挑戦

続・古老が語るモダーン・ディテクティヴ・ストーリイ

(これは昨日のツヅキです) モダーン・ディテクティヴ・ストーリイ(以下MDS)という言葉は、高校生のころ、新潮文庫に入っていた福永武彦『加田伶太郎全集』に付された都筑道夫の解説で知ったのだったと思う。 しかし『加田伶太郎全集』を読んだ当時の生意…

わが解説作法

推理小説にはたまに「読者への挑戦」というものが挿し挟まれている。つまり、手がかりはすべて与えたから犯人を当ててみろと作者が読者に挑戦しているのだ。こういう挑戦は受けて立つほうである。紳士たるもの、白手袋で頬をはたかれれば拾わざるをえまい。…

クラニー先生の10作

ひさしぶりに某巨大掲示板をのぞいたらなんと「本の雑誌がクラニー特集」と書いてあるではないか。おおこれは一大事、と感激してさっそく本屋に走った。「本の雑誌」を買うのはたぶん三年ぶりくらいではあるまいか。この雑誌は良くも悪くも活字中毒者による…

変なことする人

紙の碑に泪を 上小野田警部の退屈な事件 (講談社ノベルス)作者:倉阪 鬼一郎講談社Amazon[内容にある程度触れてますので未読の人は注意!]前年末に出た『本格ミステリベスト10 2008』の新作近況会で著者はこんなことを書いている。 とりあえずメインは『紙の…

うにゃーうにゃー

ブランク―空白に棲むもの (ミステリーYA!)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/12/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (22件) を見る 「どくしゃへのちょうせん」があるにゃ。 ぜんぜんわからないにゃ。 でもくやしいか…

闇よ、つどえ

ダークネス (ハヤカワ・ミステリワールド)作者:倉阪 鬼一郎早川書房Amazon 初期の異色作「ブラッド」の再来のように人が死ぬ。死ぬ。死ぬ。ばたばたと原因不明のまま死んでいく。一章に一回は殺人の場面があり、しかも今回は必ずペアとなって死ぬから、単純…

倉阪鬼一郎『42.195 すべては始めから不可能だった』

「読者参加型」のマラソン・ミステリー。給水ポイントでヒントをもらいつつ、二つのマラソン競技が行われる作中の全42.195章を読者が共に走りつつ真犯人を推理するという趣向です。途中三箇所に給水ポイントが設けられていて、作者が登場し、謎解きのヒント…

『無言劇』

無言劇作者:倉阪 鬼一郎アドレナライズAmazon 内田百閒にルイス・キャロルが憑依して書いたようなミステリである。作中延々と続く「片付かない会話」は百閒ファンにはたまらぬと思う。Weird World6月6日によると、この作品は もう一つ、「2003本格ミステリ・…