2005-01-01から1年間の記事一覧

その人の名は「るん」

年末だから大掃除(らしきこと)をやらねばならぬと、床に散乱した本を整理中。しかし整理を試みるほど、かえって乱雑になるのはなぜだろう。あちこちの本を拾い読みしているうちに、いろいろつまらないことに気付く。たとえば、森鴎外の某作品に、「るん」…

あなたほど少ししか時間を持っていない人はいないというのに

高遠先生のブログに教えられセネカ「幸福な人生について」をパラパラめくってみる。セネカはこれまでマリオ・プラーツ経由でしか読んでなかった。つまり、トマス・キッドやジョン・ウェブスターなどエリザベス朝流血惨劇の先達としてのセネカである。だから…

夢野ファン必読

書肆心水が「其日庵叢書第一編 杉山茂丸怪文集」を出すそうだ。「怪文」という言葉の響きがいいではないか。

風呂で読書

mixiのマイミクさんのところで、風呂の中で本を読むかどうかという話題が。 もちろん読みますとも。下の写真は愛読した都筑道夫「推理作家の出来るまで (下巻)」の図。古書ではなく新刊で買ったものだが、十分もとは取った……と思う。あとは処分するかしまい…

「タイムマシンの旅」31部完成

これ以上作る気力はもうナイ。 それでは皆様、明日(というか今日)西ま32aでお会いしましょう。少なくとも午後三時まではいる予定です。 本格ミステリ・ベスト10 (2006)でつづみ綾氏が紹介していたMord in Japan*1(ドイツで出た日本ミステリの紹介書)をぱ…

プヒプヒ#5

やっと冬コミ合わせ新刊ビブリオテカ・プヒプヒ#5 エーゴン・フリーデル「タイムマシンの旅」*1のテキストが完成。これから校正・レイアウト・印刷・製本です。果たして明後日の朝までに全部できるのでしょうか。それは誰にも分かりません。 本書はウエル…

プラハのカー

ということで池袋ジュンク堂B1「ドドド書店――桜庭一樹&桜坂洋が贈るこの一冊!」まで確認しに行ってきました。おおやはり、そこに鎮座ましますのは、ふともも町の角屋敷/こんもり茂った植込に、じゃなくて、まごうかたなき我が訳書! ありがとう桜庭さん!…

地下に驚くべきものあり

12月24日から池袋ジュンク堂B1で「桜庭一樹&桜坂洋が贈るこの一冊!(仮)」というフェアがあるらしい。 桜庭一樹さんのオフィシャルサイト Scheherzade12月20日のところに棚の写真が。三冊くらいは書名が分かる気が …… カーはないのかな …… 文庫の束らしき…

謎のケセン語

ケセン語大辞典作者: 山浦玄嗣出版社/メーカー: 無明舎出版発売日: 2000/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るどのジャンルの本にもいわゆる奇書と呼ばれるものはあろうが、事典・辞典類には殊の外多いような気がする。「こんなもの集めてど…

マッケンの失われた草稿

火星の運河 (角川ホラー文庫)作者:江戸川 乱歩角川書店Amazon 乱歩の一側面をうまく切り取ったアンソロジーである。この本で見られる乱歩は「理知的探偵小説」を目指した偉大な先駆者ではないし、巷間誤解されたところのエログロ三昧親父でもない。それでは…

ラブクラフト・エッセイ集

S. T. Joshi編纂になるラブクラフト・エッセイ集の第三巻"Science" がいよいよ今月末に出るそうだ。今Amazonで予約すると、なぜか34%引きで買える。 http://www.amazon.com/gp/product/0974878979/ (ハードカバー) http://www.amazon.com/gp/product/0974…

完全なるマゾヒストのために

人生を完全にダメにするための11のレッスン作者:ドミニク ノゲーズ青土社Amazon 帯によると、人生失敗学の本だそうだ。世に蔓延する自己啓発本のパロディらしい。しかし失敗するのに成功したということは、すなわち成功したということだから、失敗しなかった…

ロナルド・ファーバンク見参!

オデット作者:ロナルド・ファーバンク,山本 容子発売日: 2005/12/14メディア: 単行本柳瀬尚紀の素晴らしい翻訳でロナルド・ファーバンク(=「人工皇女」を書いた人)が出た! これを快挙と言わずして何と言おう。しかも全ページに山本容子のカラーイラスト…

冬コミ受かりました。(12/30(金)西ま32a)

Die Rueckkehr der Zeitmaschine: Phantastische Novelle作者: Egon Friedell出版社/メーカー: Diogenes Verlag AG発売日: 2009/02/01メディア: Perfectこの商品を含むブログ (1件) を見る今年の冬コミの新刊はこれ↑の予定。今回はスペース配置(SFの島)に…

「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

野性時代 vol.25 (2005 12) (25) KADOKAWA文芸MOOK 25出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2005/11メディア: ムック クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る早いもので連載はもう三回目だ。しかし今後どういう風に進行していくのか予断を許さない。そ…

エイクマンの未発表短編

今日届いたWormwood最新号の巻頭は、ロバート・エイクマンの未発表短編The Fully-Conducted Tourだ。やでうでしや。 物語は一人称で書かれ、エッセイとも小説ともつかないこんなノンシャランな調子ではじまる。「わたしはこれまでとてもたくさんの奇妙な出来…

エディション・プヒプヒ再び

文学フリマに来てくださった方ありがとうございます。目当ての本が買えなかった方すみませんでした。つい怠けて小部数しか作っていかなかったため、たちまち売り切れてしまいました。 え〜それで少し反省して、明後日25日(金)17:00頃〜23:00頃に、赤坂見…

文学フリマ

文学フリマも明日に迫ってきました。何も準備できてません。ビブリオテカ・プヒプヒは新刊として「夜毎に石の橋の下で(抄)」を販売します。全十四話(+エピローグ)からなる同題の長編(あるいは連作短編集)から三話だけ抜き出したものです。同時に、友…

クラニー先生おめでとう!

(この写真はmixi:「倉阪鬼一郎&ミーコ姫」コミュの「プロジェクトもじもじ」用のものでした。mixi加入されてない方は何だか分からないと思います申し訳ありません)

叙述トリックの創始者

ボードレールの散文詩「異邦人」に触れている高遠先生のブログを見ていて思い出したことがあるのでちょっとメモ。まず問題の散文詩を福永武彦訳で引く。 異邦人 ――君は一体誰が一番好きなんだ、え、謎のような男よ? 父親か、母親か、妹か、それとも弟か? ―…

少女七竈と七人の可愛そうな大人

野性時代 vol.23 (2005 10) (23) KADOKAWA文芸MOOK 23出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2005/09メディア: ムックこの商品を含むブログ (2件) を見る「白雪姫と七人の小人」のパロディみたいな表題を持つこの作品は、「辻斬りのように」の主人公川村優奈と行…

売るものがない

ところで文学フリマの出店サークルが発表になりました。おおっグレさんも登板するのかっ! 「桜庭一樹×桜坂洋」サークルもある。さ、桜庭さんが攻?……特に名を秘すあの方がまた上京しそうなヨカーン。 わが「エディション・プヒプヒ」はサークルNo.60ですが…

非セカイ系「せかい」

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)作者: 桜庭一樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/10/07メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 57回この商品を含むブログ (265件) を見るきょう神保町に行ったら、「日本箱庭療法学会第19回大会」というプラカードを持っ…

エンブレム関係新刊

英国におけるエンブレムの伝統―ルネサンス視覚文化の一面作者: カール・ヨーゼフヘルトゲン,Karl Josef H¨oltgen,川井万里子,松田美作子出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2005/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ…

吸血鬼と屍姦愛好者

汝らその総ての悪を作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (14件) を見るあるフランスの女流作家が書いた物語の中で、屍姦愛好者である主人公は次のようなことを日記に書いてい…

異装本のはなし

『荒野の恋〈第1部〉catch the tail (ファミ通文庫)』の初版カバーは二種類ある。背中の青いところが長いのと短いの。どちらが本当の初版なのだろう。

新刊でぶ本

ハプスブルクの文化革命 (講談社選書メチエ)作者: 山之内克子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/09/10メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見る質実剛健粗衣粗食を旨とするドイツのプロテスタントたちがドナウ…

どんなに脂肪が多くても 

ブラボー!! ファットガールズ どんなに脂肪が多くても作者: ウェンディ・シャンカー,小林理子出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2005/09/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る「でぶ大全」に感服して以来、同じような趣向の本をそれとなく…

神西清効果

野性時代 vol.23 (2005 10) (23) KADOKAWA文芸MOOK 23出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2005/09メディア: ムックこの商品を含むブログ (2件) を見る桜庭一樹「辻斬りのように」の冒頭に近い部分に、前後の文脈から離れて突然謎のような一行が挿入されている…

A Case of Identity

三つの教会と三人のプリミティフ派画家作者: J.K.ユイスマンス,田辺保出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2005/09/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る ユイスマンスの美術論が出た! ハネカー『エゴイストたち』で絶賛さ…