チャンドラー

『長い別れ』

女の運転するロールスロイスから白髪の青年が放り出されたのを目撃したマーロウは、そのまま青年を家に連れて帰る。そういえば少し前に『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』というライトノベルがあった。だがタフガイはもちろんそんなものは拾わない。拾…

『さよなら、愛しい人』

さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:レイモンド チャンドラー早川書房Amazon チャンドラーの『さらば愛しき女よ』はむかし清水俊二訳で読んだときはあまり感心しなかった。マーロウは例によって行方知れずになったある女の捜索にたずさわる。…

『かわいい女』再説

エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年作者:ジョゼフ・グッドリッチ国書刊行会Amazon ダネイは1949年4月12日付の書簡で、チャンドラーの『かわいい女』(『リトル・シスター』)をくさしてこう書いている。「一体全体、これは何についての話…

チャンドラーのベストとワースト

レイモンド・チャンドラーの残した七つの長篇のうちのベストといえば、『長いお別れ』であるのは衆目の一致するところだと思う。数年前の日記に書いたような、いくつもの解釈ができる余韻あるラストもいい。それから文章もいい。片岡義男氏と鴻巣友季子氏の…

田舎から都会に

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)作者:レイモンド・チャンドラー早川書房Amazon 今日はハイデガーを読みながらチャンドラーのことを考えていた。もともと「存在とは何か」より「誰が犯人か」を考えることに向いているミステリ脳なので仕…