怪異買書教


 

『本の雑誌』2月号の特集は「本を買う!」。特集ページを開くといきなり中野善夫さんが「本を買え。天に届くまで積み上げろ。」と号令している。おそろしく気合が入った特集である。池澤春菜さんの『SFのSはステキのS』に付されたCOCOさんの挿絵をほうふつとさせるようでもある。
 

「見て! これが積読マニアの成れの果てよ!」
「こうなるともう読むよりも積むほうが目的になってるというか」

 
この文章は「本は買わなくてはならない。その人なりのやり方で本を買い、そして積む。それが生きるということではないか」と締めくくられている。

それが生きるということなのか! もはや新興宗教のノリでは。経文は理解できずとも念仏さえ唱えれば救われるというのとあまり変わらないのでは……。ともあれ今年に入ってから一冊も本を買ってない自分などさしずめ人間失格か。ああ、生まれてすみません……

それはそうとすごいといえば日下三蔵さんの連載「断捨離血風録」もすごい。もう一年以上の連載になるのにいまだに断捨離が終っていない。さらにすごいのは本の堆積の中から毎回あっとおどろく(しばしば日下さん自身でさえ驚く)稀覯本が出土されるところ。たとえば今回は同人誌『鬼』の全冊揃いが出てきた。この勢いでいくとそのうち『黒白』全冊揃いや『ウィチグス呪法典』が出てきてもさほど不思議じゃない気がする。