2016-01-01から1年間の記事一覧

読書人の鑑

洋書ペーパーバック大量入荷です!ジャック・ケルアック、ヘンリー・ミラー、サミュエル・ベケット、サリンジャー、F・スコット・フィッツジェラルド、アナイス・ニンなど。表紙の雰囲気もお… https://t.co/zu85N4zAn5 pic.twitter.com/VXxE5fpFTs— 幻想系古…

文学フリマ報告(その1)

弊スペースまで来てくださった方々、どうもありがとうございました。新刊はたちまち売り切れてしまい、大勢の方に無駄足を踏ませてしまいました。申し訳ありません! しかしお隣のスペースの『結城昌治読本』よりは長くもったと思います。あれは本当に瞬殺で…

文学フリマ新刊

* いよいよ11/23(祝)に迫る文学フリマ。当スペースは「エディション・プヒプヒ」2階のカ‐17です。どうぞ皆様こぞってお越しください。 * 新刊はレオ・ペルッツの中篇「霰弾(さんだん)亭」を予定しています。72ページ予価500円。 とりあえず表紙はで…

イチョウ並木の本まつり

* というわけで11月9日の日記で言及した 第1回 瀬戸内ブッククルーズ イチョウ並木の本まつりに行ってまいりました。岡山・香川・徳島などの古書店が一堂に会し、イチョウ並木に囲まれて店を開くという大変に嬉しいイベントです。 * まず買ったのはこの本…

ウダルグルーヴ

大下宇陀児探偵小説選〈1〉 (論創ミステリ叢書)作者:大下 宇陀児論創社Amazon 今日付けの『新青年』研究会のブログを見たら『新青年』趣味17号が文学フリマで初売りだそうな。特集はなんと大下宇陀児! その変わらぬ時代錯誤ぶりに思わず笑いが出た。世間で…

プヒ氏岡山へ

* 岡山に行く機会ができたので、11月12日(土)に開催される 第1回 瀬戸内ブッククルーズ イチョウ並木の本まつりなるものを見てこようかと思ってます。岡山大学は40年近く前にさる麗人の案内で(フェンスの穴を潜り抜けたりして)覗いてみただけなので実に…

ペルッツ再び

* 『マルセル・シュオッブ全集』など数多くの本の美麗装丁で知られる柳川貴代氏が、「本迷宮――本を巡る不思議な物語」展 の紹介ツイートをされておられます。 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = windo…

転校した友人

*文学ムック たべるのがおそい vol.2作者: 金原瑞人,石川美南,宮内悠介,円城塔,やくしまるえつこ,西崎憲,穂村弘,大前粟生,津村記久子,森見登美彦,四元康祐,今橋愛,岡野大嗣,瀬戸夏子,吉野裕之,倉本さおり,中野善夫,ヤンヴァイス,アンナカヴァン,阿部賢一出…

まだある、まだある

昨日と今日は古書会館で洋書まつりがあった。いつぞやの日記で記した、加齢とともに本買いが加速する人たちが一堂に集まってわれがちに段ボール箱に何箱も、という感じで本を買っていっている。恐ろしい。恐ろしすぎる眺めではないか。昨日六十冊近く買った…

乗っ取られた作者

* このところこの日記の更新頻度が高いので不審に思われている方もおられるかもしれない。ふおふおふお。実はとある難物の翻訳が終わったところなのです。正確にいえばあと200枚分くらい残っているが、まあ最難関は突破したとみてよい。没にならないかぎり…

田舎から都会に

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)作者:レイモンド・チャンドラー早川書房Amazon 今日はハイデガーを読みながらチャンドラーのことを考えていた。もともと「存在とは何か」より「誰が犯人か」を考えることに向いているミステリ脳なので仕…

ホムワトスン問題

まるで天使のような (創元推理文庫)作者:マーガレット・ミラー東京創元社Amazon まだハイデガーを読んでいるが、今回の話はどうハイデガーに関係するのかまったく不明。それというのもハイデガーの本は読んでいると様々な思考を誘発されるのだ。そう書くと何…

語源を遡る人

芸術作品の根源 (平凡社ライブラリー)作者:マルティン ハイデッガー平凡社Amazon またもやハイデガーと関連あるようなないような話。言葉は日々生まれる。たとえば「真逆(まぎゃく)」という言葉。三省堂国語辞典第七版(2014年1月発行)にちゃんと載ってい…

老いてますます本を買うこと

ちょっとしたきっかけがあってハイデガーに凝るようになり、木田元やスタイナーの解説書を手始めに、本人が書いた本もわからぬながらパラパラめくっている。わからないといっても、いい新訳が出ているおかげもあって、昔よりはわかる(ような気がする)。か…

見た目が9割

形象の力:合理的言語の無力 (高山宏セレクション〈異貌の人文学〉)作者:エルネスト・グラッシ白水社Amazon この本は訳者解説でも仄めかされている「ハイデガー対イタリア・フマニズム」の書として読むと面白いと思う。最初のうちこそ、「企投(エントブルフ…

死の舞踏

ロルドの恐怖劇場 (ちくま文庫)作者:ロルド,アンドレ・ド筑摩書房Amazon ページを開くといきなり怪しい病院に一人きりにされる少女。およそ半世紀も前に楳図かずおや古賀新一が描いたところの妖怪病院のノリで快調に(怪調に?)はじまる。中世期の「死の舞…

ナイショの話

両シチリア連隊作者:アレクサンダー・レルネット=ホレーニア東京創元社Amazon ここを見ている方だけにそっとお教えしましょう。 実は、二年前に出た世紀の奇書『両シチリア連隊』はすでに版元品切れなのです。もう店頭在庫しかありません。というか(少なく…

ラヴクラフトより異形

不機嫌な姫とブルックナー団作者:高原 英理講談社Amazon 面白かった。一気に読んだ。一般的にいって、「生前は一握りの崇拝者にしか理解されなかったが、死後に評価が高まり、今では古典とみなされている」といったパターンは、文学史や他の芸術の歴史にあま…

松山俊太郎 『蓮の宇宙』によせて

松山俊太郎 蓮の宇宙作者:松山俊太郎太田出版Amazon 翁の講義は美学校に何度か潜り込んで謹聴したことがある。言葉もおそらくトータルで十語くらいは交わしていると思う。人は会わなければわからないということもないし、会えばわかるというものでもない。だ…

évocation

年をとると涙もろくなって困るが、このブログの文章でまたまた涙腺が緩んだ。ここには言葉を習うことのありがたみが純粋な形であらわれている。年齢は関係ない。だいいちCDニューエクスプレスとかそういうのだって、現地の人からみれば小三のドリルみたいな…

ジャンルクラサカ

虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)作者:デイヴィス,L.P.国書刊行会Amazon最初の40ページくらいまで読んで「これひょっとしてハルヒかな?」と思ったけれど、最後まで読んだらクラサカだった。と書いてもネタバレにはならないはずだ。というか、これ読んでない…

松山翁の書庫

芸術人類学研究所(AA)多摩美術大学のツイートによれば安藤礼二編『松山俊太郎 蓮の宇宙』は八月刊行予定だそうだ。はたして本当に出るのか、まだまだ予断は許さないけれども、なんとなく今年中には出そうな気配になってきた。まずはめでたいことである。…

横積み者の末路

SFのSは、ステキのS作者:池澤 春菜早川書房Amazon 以前『乙女の読書道』を一読して文章のうまさに仰天し、そのまま池澤ファンとなった。(こんな言い方をされては本人としては不本意だとは思うけれど)三代の蓄積を目の当たりに見る思いがする。 ということ…

午後の恐龍

*アルファ作者: イェンス・ハルダー,菅谷暁出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2016/05/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る* 特殊版元として名高い国書刊行会がまたまた面妖な本を出した。拙宅から一番近い大型書店(コーチャンフォー…

塚本邦雄展図録に寄せて

「玲瓏の会」の物部鳥奈さんから塚本邦雄展図録をいただいた。ありがとうございます。物部さんは同展の企画委員の一人で、この図録で年譜を担当。わたしは塚本を日常的に読む人間ではないけれど、こうしたものを目にすると一旦は箱のなかにいれた塚本本を取…

毒は作品より早く

本の雑誌396号本の雑誌社Amazon* むかし雀*1仲間だった花笠海月さんから『「詩世紀」における長谷川敬(赤江瀑)』をいただきました。ありがとうございます。花笠さんと彩古さんと共著のかたちで書肆いろどりから出されたものです。また「本の雑誌」の6月号…

奥様は火星人

遅くなりましたが文フリ弊スペースに来てくださいました皆さま、どうもありがとうございました。これから何回か、文フリで手に入れた本について書いてみようと思います。その第一弾はご存じ噴飯文庫の最新刊H.G.ウェルズ『星の児 生物学的幻想曲』。昭和13年…

文フリ新刊

いよいよ明日に迫る第二十二回文学フリマ東京。エディション・プヒプヒの今回の新刊は、乱歩の熱愛した禁断の書物『ギリシア倫理の一問題』(ジョン・アディントン・シモンズ)の抄訳です(乱歩表記では「ギリシャ道徳の一問題)」)。現在鋭意最終追い込み…

破戒

近くまで来たついでに古書いろどりに寄ったら、店主の彩古さんから、今日は「戦後70年 中井英夫 西荻窪の青春展」の初日であることを教えられた。おおそうであったか。すっかり忘れていた。その足で東京古書会館に回ると、二階でひっそり、いかにも中井英…

訳了

例のプラハ変人小説をようやく訳し終えて送付。出版社にお邪魔して打ち合わせをしたのは去年の七月末のことだったから、まる八か月かかったことになる。いやはや〜。でもなにしろチェコ語はポンポン出てくるし、プラハの人はすごく崩れたドイツ語喋るし、お…