エドマンド・ウィルソン

裏表紙の叙述トリック

日本では本の帯によく「〇〇氏絶讃!」などという宣伝文が書かれてある。英米のペーパーバックでそれにあたるのが裏表紙の引用文である。たとえば「驚天動地の傑作!(ニューヨークタイムズ)」とかそんな感じで書評の一部が引用されている。しかしこれが実…

別府とフィンランド

ここを見ている方ならたいていご存じと思うが、ある国内ベストテン級のミステリでは、別府はあの温泉で有名な大分県の町ではない。といってもパラレルワールドの異世界ものというわけでもなく、何というか、もっと陰険で悪辣なものである。だがこんなトリッ…

自分のことを「魔」と言うわけはない

いやそれは、あの手記が書かれたのは事件が起こってから二十年後なので、主人公にも自分を客観的に振り返って、反省する余裕が出てきたのではないかと。しかしあの最後のフレーズ「そしてマイルズの小さな心臓は、魔を祓われて、止まっていました」は謎だ。…