ナイトランド・クォータリーvol.33


  
酷暑にも台風七号にもめげずに堂々刊行される『ナイトランド・クォータリー』の最新刊vol.33 の特集は「人智を超えたものとの契約」。今月末に書店に出回るようです。

執筆陣の中では飯野文彦氏の名が目をひきます。もう20年以上前の話ですが、朝松健氏篇のオリジナル・クトゥルー・アンソロジー『秘神』を読んだとき、氏の「襲名」が集中でひときわ光っていたのを覚えています。その流麗な語り口に酔いました。まあ内容はすさまじくアレなんですが……。今度はいったい何をどんなふうに書いているのでしょうか。読むのが怖ろしくもありますが勇気を奮い起こして読んでみようと思います。

不肖わたくしもレルネット=ホレーニアの短篇「ランデヴー」で参戦しております。エディション・アルシーブ版あるいは福武文庫版でこの人の『白羊宮の火星』を読んだ人は、あまりといえばあまりな結末に驚愕したのではありますまいか。私見では麻耶雄嵩『夏と冬の奏鳴曲』に匹敵するような、読んでいる目が理解を拒否するような、ご無体な結末でありました。すくなくとも無理やりな同一性という意味で両作品は共通するのではないでしょうか。

今回の「ランデヴー」はその結末だけを切り離して一篇の短篇に仕立て上げたような趣きのある作品です。これ以上は何も言いますまい。なにとぞご一読のほどを。