モーリス・ルヴェル
訳者解説によれば、作者モーリス・ルヴェルは何百もの短篇を書きながら、多くは新聞に掲載されたきりで、生前は二冊しか短篇集が出なかったという。なんだかジャック・リッチーみたいですね、作風は大違いだけれど。ともあれ読み捨てられたはずだったそんな…
火星の運河 (角川ホラー文庫)作者:江戸川 乱歩角川書店Amazon 乱歩の一側面をうまく切り取ったアンソロジーである。この本で見られる乱歩は「理知的探偵小説」を目指した偉大な先駆者ではないし、巷間誤解されたところのエログロ三昧親父でもない。それでは…
Grand-Guignol: The French Theatre of Horror (Uep - Exeter Performance Studies)作者:Hand, Richard J.,Wilson, MichaelUniversity of Exeter PressAmazon この前本屋に行ったら創元推理文庫の『夜鳥』が四版か五版になっていた。順調に版を重ねているよ…
本の山を崩しながら大和書房版『巌谷小波お伽文庫』を探していたら唐突にマーヴィン・ケイのアンソロジー"Devils & Demons"が出てきた。何を隠そう、この本こそが、6月5日の日記に書いたモーリス・ルヴェル女性説の元凶でなのである。そういうわけで、いのも…
「ルヴェル未訳長編を読む」シリーズ第一弾は1908年に発表された「恐怖(L'epouvante)」。それにしてもこれは、長い間埋もれていたのも無理はないと思わせるほどの変な話だ。この長編を正当に評価できるのは、もしかしたら異形のミステリが軒を競うように次々…
…創元推理文庫が重版したのが目出たいというのは、世も末という感じもするが、そこはそれ。重版を記念して拙豚日記も、ペルッツが一段落したら、『モールス・ルヴェル未訳作品を読む』シリーズをやる予定。乞御期待。ところで、これを読んでいる読者諸賢は「…