魔王 第二号 魔女のいる文学史


 

たまに連れだって古本どらねこ堂に行くK氏(ブログには書かないでくれと頼まれたのでここではイニシャルのみ)から、「ベレンの翻訳が載ってますよ」と教えてもらった『魔王 第二号 魔女のいる文学史』をようやく入手した。限定三百部。造本はAtelier空中線の間奈美子さん。発行所は書肆不死者画報という怪しさ満点のところである。しかしどの記事も驚くほどレベルが高い。

ベレンの翻訳も期待を裏切らないすばらしいものだった。悪徳の中のイノセンスをおしゃれな文体で追求する掌篇には中井英夫を思わせるものがある。自己の神話化とか昇華されたナルシシズムとかも共通している。いまでは入手困難になった雑誌だけでしか読めないのはあまりに惜しい。願わくはこれを訳された宮川尚理氏の手によってベレン(ネリー・カプラン)の翻訳が単行本としていつか出んことを。