黒死館

実在したケルト・ルネサンス様式

黒死館附属幻稚園の新刊がすばらしい。今回の文学フリマで出たマーガレット・オリファント『秘密の部屋』である。これも黒死館研究史に新たな一歩をしるすものだと思う。『黒死館殺人事件』の舞台、黒死館の建築様式は「ケルト・ルネサンス式」であるらしい…

黒死館あれこれ

「篠田真由美お仕事日誌」の2月25日のところを興味深く読んだ。この日記では小栗が『グリーン家』のどういう部分に不満を持ち、それを『黒死館』でどう変えていったかを推測しているのだが、実作者でなければ気づかないであろう点がいろいろあって面白い。と…

外道祭文注釈地獄

子不語の夢―江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集乱歩蔵びらき委員会Amazon【「新青年」版】黒死館殺人事件作者:小栗 虫太郎作品社Amazon 本日付けの名張人外境ブログで中相作さんが『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』のことを書いておられます。実に…

対決の書

綺想宮殺人事件作者:芦辺 拓東京創元社Amazon 【「新青年」版】黒死館殺人事件は刊行一週間足らずで在庫が底をつき各書店で品切れとなり、版元はあわてて重版に踏み切ったそうだ。あの価格にしてこの売れ行きなのだから、よほど皆が待ち望んでいた本だったの…

「光輝故(ゆえ)なくしては」

【「新青年」版】黒死館殺人事件作者:小栗 虫太郎作品社Amazon かつて都筑道夫はポケミスのあとがきで『ドグラ・マグラ』を、「狂人の主観を通して狂人をめぐる一事件を書いたもの」と評したことがあった。でもこれは『ドグラ・マグラ』にかぎらない。いわゆ…

カーテン・オープン

* 事典のように分厚い『隅の老人全集』でわれわれの度肝を抜いた作品社からまたまた恐るべきツイートが! * 『黒死館殺人事件』の入稿指定をしながらワインを飲み始めました。悪酔いしそう……(笑)。 https://twitter.com/sakuhinsha/status/5832459658317…

ダクダクとは何の謂ぞ

漏れ聞く噂によれば、あと十日たらずに迫った冬の祭典で、面妖な本が新刊で出るらしい。しかもわがスペースのすぐ隣で。「ダクダク」? そんなの黒死館にあったっけ? と思って調べてみたら本当にあった! 恐るべし黒死館マニア! ……それから彼は、片眼鏡で…

痛茶とともに2(黒死館の巻)

日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)作者:小栗 虫太郎東京創元社Amazon 粗製濫造の新書集団に埋もれながらも、クセジュ文庫はいまだに本屋の一角を固守している。頼もしいではないか。ペンギンブックス(青版)を範とした岩波新書を遠い先祖と…

痛茶とともに1(綺想宮の巻)

綺想宮殺人事件作者:芦辺 拓東京創元社Amazon今年もコミケの季節になった。さいわい気温もそれほど高くない。そこでいそいそとりんかい線に乗り込み、痛茶とともにCRITICAと黒死館逍遥との最新号を買ってきた。拙豚にとって大枚1500円を払ってCRITICAを購入…

オヤ妙な転換があるぞ

*綺想宮殺人事件作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/04/28メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 33回この商品を含むブログ (30件) を見る* ついに問題の『綺想宮殺人事件』が来月刊行。つつがなく店頭に並べば、21世紀最初の10年のベス…

脳髄はものを考えるところか?

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化作者: バーバラ・M.スタフォード,Barbara Maria Stafford,高山宏出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブ…

身体による批評

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化作者:バーバラ・M. スタフォード国書刊行会Amazon 「黒死館殺人事件」一巻を覆いつくすメタファの大密林の肝をなすものといえば、一に身体、二に視覚、つまり眼科をメインと…

肝と金之助

眼鏡文人の一号が出た。小栗虫太郎の特集である。ノリハゼクマ編というから、法水・支倉・熊城の3P組んずほぐれつなんかだったらどうしようと恐る恐るページをめくったところ、本格的な研究書だったのでびっくりした。ちょっとシャレード別冊の作家特集を…