夢野久作

四月のSFファン交流会

SFファン交流会の四月例会は『〈マニュエル伝〉シリーズの魅力(仮)』と題して中野善夫さんと安野玲さんが参加される予定です。わたくしは都合により参加できませんが、皆さまこぞってお申込みください。きっと面白い話が聞けると思います。ところで話は急…

ひたむきな三島由紀夫(2)

幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906;906) (平凡社ライブラリー)作者:由紀夫, 三島平凡社Amazon ……『幻想小説とは何か』の東さんによる解説を読んだら、本来は評論の部が巻頭に来るはずが、版元のアドバイスで今の形になったという。小説篇か戯曲篇…

ぬか漬けのきゅうり

少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫)作者:夢野 久作東京創元社Amazon 吾妻ひでおの『アル中病棟』によると、アル中になった人の脳は、ぬか漬けのきゅうりが生のきゅうりに戻らないように、もとに戻ることはないのだという。アル中ならぬミステリ中毒の…

明朗冒険活劇のまぼろし

世界名作探偵小説選作者:ポー,エドガー・アラン,オルツィ,バロネス,ローマー,サックス,雄一, 平山作品社Amazon 世にアホくさいものは数あれど、山中峯太郎翻案のシャーロック・ホームズくらいアホくさいものはたんとはあるまい。のんびりと正月に読書するに…

一本の毛の問題

ドラコニアの夢 (角川文庫)作者:澁澤 龍彦KADOKAWAAmazon乱歩謎解きクロニクル作者:中 相作言視舎Amazon 先に触れた『ドラコニアの夢』には、「江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説」も収録されている。これは角川文庫が宮田雅之の切り絵を表紙にして乱歩を出…

「私の男」をめぐって1(種への旅の巻)

私の男作者:桜庭 一樹文藝春秋Amazon 時系列の扱いとテーマからは夢野久作の「瓶詰の地獄」を連想させる。しかしそれはもちろん外見上の類似にすぎない。より本質的に通底しているのはカルペンティエールの「種への旅」だろう。時系列に沿ってストーリーをた…

夢野ファン必読

書肆心水が「其日庵叢書第一編 杉山茂丸怪文集」を出すそうだ。「怪文」という言葉の響きがいいではないか。

grand-frere, grand-frere, grand-frere, grand-frere...... grand-fre-ee-e---re...... (お兄様、お兄様、お兄様、お兄様……おにいさまアーッ……)

藤原編集室『本棚の中の骸骨』の中の 坂本浩也氏の「フランス・ミステリ通信2」にフランス語版ドグラ・マグラ ISBN:2877306453 のことが書いてあった。拙豚もつい最近、2ちゃんでこの翻訳の存在を知ってあわててAmazonに注文したところだ。 訳文の一部はフ…

『恐怖』(モーリス・ルヴェル)

「ルヴェル未訳長編を読む」シリーズ第一弾は1908年に発表された「恐怖(L'epouvante)」。それにしてもこれは、長い間埋もれていたのも無理はないと思わせるほどの変な話だ。この長編を正当に評価できるのは、もしかしたら異形のミステリが軒を競うように次々…