シンポ教授

『都筑道夫創訳ミステリ集成』の楽しさ

都筑道夫創訳ミステリ集成作者:ジョン・P・マーカンド,カロリン・キーン,エドガー・ライス・バローズ,新保博久,堀燐太郎,平山雄一作品社Amazon 翻訳を依頼されたはいいけれど、「こんなつまらんものを訳してられるか!」とぶち切れて(かどうかは知らないが…

また佐野洋を読んだ

また佐野洋を読みました。というと「お前は佐野洋しか読むものはないんか~」と呆れられそうですが、いい意味でも悪い意味でも後を引かない、読んだらすぐに忘れられる(というとけなしてるようですが褒めてるんですよ。すくなくとも読後嫌な後味が残る本に…

本邦退屈派

調べもののためF図書館に行ったついでに問題の『死火山系』を借りてきた。 この図書館はこの手の本を廃棄処分もせずにわりと残してあるので頼もしい。何年か前に北村薫氏が講演に来ていたので、中の人がミステリ好きなのかもしれない。緊急事態宣言の中にあ…

悪魔はここに

Re-Clam第六号が到着した。発行者三門優祐氏のエディトリアル・ワークはますます冴えわたり、隅々まで読んで楽しい雑誌になっている。これほどマニアックでありながら、同人誌特有の閉塞感を感じさせず、「ミステリっていいもんだな」と素直に思わせるのは、…

大いなる野望

ミステリーズ! Vol.96作者: 西崎憲ほか出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/08/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見るじゃーん! 来月出る「ミステリーズ!」8月号にレルネット=ホレーニアの短篇が載ります。版元サイトの内容紹介欄でも堂々と…

読書人の鑑

洋書ペーパーバック大量入荷です!ジャック・ケルアック、ヘンリー・ミラー、サミュエル・ベケット、サリンジャー、F・スコット・フィッツジェラルド、アナイス・ニンなど。表紙の雰囲気もお… https://t.co/zu85N4zAn5 pic.twitter.com/VXxE5fpFTs— 幻想系古…

まだある、まだある

昨日と今日は古書会館で洋書まつりがあった。いつぞやの日記で記した、加齢とともに本買いが加速する人たちが一堂に集まってわれがちに段ボール箱に何箱も、という感じで本を買っていっている。恐ろしい。恐ろしすぎる眺めではないか。昨日六十冊近く買った…

熊虎奇聞

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)作者:A.E. コッパード筑摩書房Amazon 明日は『郵便局と蛇』の発売日みたいなので、コッパードにちなんだ小ネタをひとつ。乱歩という人は感銘を受けた小説の場面を自作に紛れこませることがある。「虫」には…

狩久登場

狩久探偵小説選 (論創ミステリ叢書)作者:狩 久論創社Amazon 奇作怪作でむせかえるような清張以前ミステリ群のなかでも、狩久は際立って異様な作風を持つ一人である。人は狩久のようなミステリを読みたいと思えば、狩久を読むしかない。 いま、ついうっかり「…

恐怖の写真展

『幻影城の時代』は、あいかわらず物凄い勢いで売れているらしいです。その余勢をかってか、編者の本多正一さんの写真展が開催されます。銀座のGallery Bar Kajimaにて、明年1/26 - 2/14まで。 刊行記念イベントとして 2月7日(土)には、竹本健治×シンポ教授 …

『江戸川乱歩全集第4巻 孤島の鬼』(光文社文庫)

この巻には、「猟奇の果」の流布本と異なる結末が異文(ヴァリアント)として収録されている。これが本書最大の目玉といってよかろう。 この「もうひとつの結末」は、新保博久氏の解説によると、終戦直後の仙花紙本時代、知り合いの出版社の求めに応じ「猟奇の…