2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧
オルテガ著作集 7 世界史の一解釈作者:オルテガ白水社Amazon 京王線の中吊り広告で池田大作と談笑するトインビーの写真を見た。――ああそう言えばそういう人もいたんだった。 トインビーは今ではほとんど忘れられた感のある歴史家だが、かつて――といってもそ…
「どうして、そんな散文的なもんか」と法水は力を罩めて云い返した。「所で、法心理学者のシュテルンに、『供述の心理学(プショロギィ・デル・アウサーゲ)』と云う著述がある。所が、その中であのブレスラウ大学の先生が、予審判事に斯う云う警語を発してい…
所が、意外にも、それが全然異なった形となって、伸子の心像の中に現われてしまったのだ。と云うのは、ラインハルトの『抒情詩の快不快の表出』と云う著述の中に、ハルピンの詩『愛蘭土星学(アイリッシュ・アストロノミー)』の事が記されてある。その中の一…
シャルコー神経学講義作者: クリストファー・G.ゲッツ,Christopher G. Goetz,加我牧子,鈴木文晴出版社/メーカー: 白揚社発売日: 1999/11/01メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る 「だが、例証がない事もないさ。シャルコーの随…
「或は、そうかも知れんがね」と法水は莨で函(ケース)の蓋を叩きながら、妙に含む所のあるような、それでいて、検事の説を真底から肯定するようにも思われる――異様な頷き方をしたが、「そうすると、さしずめ君には、ピデリットの『擬容と相貌学(ミミック・ウ…
七冊のまま全然売れていないと二十日の日記で嘆いた池袋ジュンク堂の『最後の審判の巨匠』。今日サイトを見たらなんと一冊増えて八冊になっていた。これは一体どういうことであるのか。 1) 「この本は売れそうだ」と思ったジュンク堂の人がもう一冊余分に仕…
ウィルキー・コリンズ傑作選〈Vol.6〉アーマデイル(上)作者:ウィルキー コリンズ臨川書店Amazon 神保町で第三某氏とすれ違う。その店では「ヴァールブルク著作集4」とか「魔王の足跡」が新刊で並んでいた。東京堂書店ふくろう店の特価本コーナーではウィル…
雪が止まない。今日はAin Soph/KBBのライブに行くべきか、ですぺらに行くべきか、それとも家でおとなしくしてるべきだろうか。どんがらがん (奇想コレクション)作者:アヴラム・デイヴィッドスン河出書房新社Amazon 「どんがらがん」収録短篇のなかでは、…
Amazonの『最後の審判の巨匠』、ずっと「3点在庫あり」だったのが今日見たら「2点在庫あり」になっていた。165たんが買ってくれたのかも。どうもありがとう。 池袋ジュンク堂では在庫7冊。先月24日に見たときも7冊だったから全然売れてないことになる。ああ…
また洋古書店に珍しいものがポツポツ出るようになった。どなたか蔵書家が手放されたのだろうか。それとも旧北沢の残滓なのか。 下の画像に写っている白い本は、一見ボナールのスケッチ集にしか見えないが、よく見ると下のほうに小さく"From Octave Mirbeau's…
昨日に続いて、黒死館の下記の部分を巡る話。 「所でペンクライク(十四世紀英蘭の言語学者)が編纂した『ツルバール史詩集成』の中に、ゲルベルトに関する妖異譚が載っている。勿論当時のサラセン嫌悪の風潮で、ゲルベルトをまるで妖術師扱いにしているのだ…
まったく関係ないが、(いや、一応音楽つながりではあるが)現代思潮新社からストーンズの伝記が出るらしい。あの、かっては黒難解本専門だった現代思潮社がシンコーミュージックみたいな本を出すとは! 彼は昔の彼ならず〜。しかしその値段では売れなかろう…
昨日に続いて音楽繋がりで黒死館蔵書の話題を。ただこれも今のところ調査中のメモ。 所が、キィゼヴェッテルの『古代楽器史』を見ると、月琴(タムブル)は腸線楽器だが、平琴(ダルシメル)の十世紀時代のものになると、腸線の代りに金属線が張られていて、そ…
ドイツ・バロック器楽論―1650~1750年頃のドイツ音楽理論における器楽のタイポロジー作者: 佐藤望出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2005/12/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見るニューグローブ世界音楽大事典で「…
ノヴァーリス作品集〈第1巻〉サイスの弟子たち・断章 (ちくま文庫)作者: ノヴァーリス,Novalis,今泉文子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (12件) を見る エジプトのサイス(ドイツ語読みだとザイ…
せかいの外から大人がやってきた。そしてせかいの外に行こうといざなう。七竈も動揺している。 計算された人物の出し入れは小説というより戯曲の作法である。 戯曲といえば、この作品のセリフ回しは素晴らしい。こういうかけがえのない作品をリアルタイムで…
「黒死館逍遥」第二巻の発刊記念に、久しぶりに黒死館蔵書シリーズ。といっても今回は調査途上のメモ程度にすぎないけれど。 「そうだ熊城君、事実それは伝説に違いないのだ。ネゲラインの『北欧伝説学』の中に、その昔漂浪楽人が唱い歩いたとか云う、ゼッキ…
二階堂奥歯さんの「八本脚の蝶」がいよいよ書籍化されて本屋に並ぶそうだ。幻妖ブックブログの東雅夫氏の言によると「縦書きの活字で組まれると、サイトで目にしたときよりも格段に凄味が増す」らしい。鶴首して待ちたい。思考を忠実にトレースしていくあの…
Tartarus Pressのレイ・ラッセルが最近サザビーのオークションで入手した一山のうち、ダブリ本その他が放出されている(ここ)。「緑地帯」の手書き原稿308ページが£2,750、タイプ原稿146ページが £1,500。思ったより高くない。しかしこんなものを一般コレク…
ぶらんでぃっしゅ?作者:清涼院 流水幻冬舎Amazon 清涼院流水のデビュー作「コズミック」が出たときは、けっこう感心して読んだ、と人に言うと皆笑うが本当のことだ。当時はてなダイアリーがなかったのはまことに幸いなことであった。もしその頃からウェブ日…
安藤昌益作者: 狩野亨吉出版社/メーカー: 書肆心水発売日: 2006/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (19件) を見る狩野亨吉(「こうきち」と読む)の本が書肆心水から11月に出ていた。しかし収められているのは「安藤昌益」「歴史…
ピカレスク―太宰治伝作者:猪瀬 直樹小学館Amazon あまりの面白さに一気に読んでしまった。これは太宰治の生涯に一つの新解釈を試みた評論? 伝記? いや、やはり叙述方法から見て「小説」あるいは十蘭風に「ノンフィクション・ノベル」と言った方がよかろう…
ダンセイニの「バブルクンドの陥落」は、その凝った構成と文章によって一読忘れがたい作品だ。伝説の市バブルクンドを一目見んものと、「私」は友とともに沙漠を南へ向う。途上で行き交った、南から来た第一の旅客は、「私」たちにバブルクンドとその王ネヘ…
去年の冬コミで出たPEGANA LOST Vol.11には石野重道の作品が二編復刻されている。稲垣足穂の関西学院時代からの友人であり、ともに佐藤春夫門下であった彼の名は、タルホファンには先刻お馴染みであろう。石野の名が出てくるタルホ作品は、二、三には留まら…
眼鏡文人の一号が出た。小栗虫太郎の特集である。ノリハゼクマ編というから、法水・支倉・熊城の3P組んずほぐれつなんかだったらどうしようと恐る恐るページをめくったところ、本格的な研究書だったのでびっくりした。ちょっとシャレード別冊の作家特集を…
エーゴン・フリーデル「タイムマシンの旅」の英訳版The Return of the Time Machineがきのう到着した。残念ながらコミケには間に合わず、翻訳の参考にできなかった。これはドナルド・A・ウォルハイム監修のDAWブックスの一冊として1972年に発行されたもの。K…
大掃除はまだ終わらない。マリオ・プラーツがスペイン旅行記の中でこんなことを書いていた。舞台はアルハンブラ。ハンス・ハインツ・エーヴェルスがポーのグロテスクについて瞑想に耽ったのと同じ場所である*1。 (アルハンブラの)世界が込み入っているのは…