生田耕作

本代は支払われたのだろうか

昨日書影をあげたヴェデキント仏訳本は、十数年前に洋書まつりで生田旧蔵書が大放出されたときに手にいれた。あのときは生田が晩年にいたるまで豪快に本を買い続けていたことがわかってびっくりしたものだった。現にあのヴェデキント仏訳の刊行年一九九〇年…

死せる生田生けるプヒ氏を走らす

その後また三日月書店に走り生田旧蔵書を今度は八冊買ってきた。死せる生田、生けるプヒ氏を走らす。 生田といえばある種の人たちには蛇蝎のごとく嫌われているらしい。むかし『東京人』だったかの神保町古書店特集で某老舗古書肆の店主がインタビューされて…

三日月書店に走る

フランス語の入荷がありました。マッコルラン、ジャリ、ドールヴィイなど。 pic.twitter.com/1wUlqCB8md— 三日月書店 Mikazuki Books (@mikazuki_books) 2021年11月5日 何ですとマッコルラン、ジャリ、ドールヴィイですと! まるで某書刊行会のようなライン…

トモナリ化

セリーヌの作品〈第13巻〉リゴドン作者:L.F.セリーヌ,和彦, 高坂国書刊行会Amazon 今訳しているのは一種のピカレスク小説なので、景気付けに中野好夫訳の「ヘンリー四世」やセリーヌの亡命三部作を読んでいる。 伝説の雑誌「幻想文学」の古い号に、どなただ…

恥ずかしい蔵書票の話

この前の金土は洋書祭りということで、いそいそと神保町の古書会館まで出かけていった。例によって初日はプロやセミプロが入り乱れて荒らしまくるので、何かと動作の緩慢な拙豚に出番はない。静かな雰囲気で落ち着いて本を選べるのは客もまばらな二日目の朝…

生田蔵書放出

このところジョン・コリア関係でずっと休日がつぶれていたが、翻訳も解説も実質的に終わった(ことを祈る)ので、久しぶりに古書店を回った。 旧知の古書店に入って四方山話。その店主の言うことには、生田耕作旧蔵書が洋書の市に三週続けて出たそうだ。どう…

「目玉の話」のですます調

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)作者:バタイユ光文社Amazon 驚くべき清新な翻訳だ。既存の生田耕作訳と比べてどちらに軍配をあげるかは人それぞれだろうが、少なくともこれを読んだ後では生田訳が古色蒼然とした、(文字通りの)前世紀の…

ヴァテックのこと

「ヴァテック」を読んだときのことはまだ覚えている。国立の道化書房で牧神社版を買い、斜め向かいの音楽喫茶「ジュピター」で一気に読んだのだった。二十年くらい前のことである。今はどちらの店もたぶん存在していないだろう。驚いたのはその近代性だった…

エディション・イレーヌの二冊

生田耕作没後10年記念出版ということで、エディション・イレーヌから、ヘンリー・ミラーの「母、中国、そして世界の果て」と アナイス・ニンの「巴里ふたたび」が出た。古書肆マルドロール で取り扱っています。しかし、生誕100年記念とかならともかく、没後…