高山宏

一度ならず二度までも

ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館アトリエサードAmazon SFファン交流会のアンケートには「二度と訳したくありません」と書いてしまったキャベル。実はそのあともう一度訳しているのを思い出しました。『ナイトランド・クォータリー vol.20 …

アトム式

むかしむかし、今は亡き安原顕氏が仕切っていたころのメタローグから『私の外国語上達法』という本が出ていた。その中でちょっと名を思い出せない英文学者の方が「アトム式」という方法を紹介していた。このアトムというのは例の鉄腕のではなくて学生社から…

シブサワ大激怒!

文学フリマに行ってまいりました。一番のお目当ては高山宏ロングインタビューが掲載されている「機関精神史」。漏れ聞く噂によれば「商業誌ではふつう削除されるような赤裸々なことも平気で載せてある」らしいので、楽しみにしていたのです。 ページを開いて…

高い山から

自分はシブサワ派かもしれない。だがタカヤマ派だろうかと自問すると、やはり違うような気がする。タカヤマ本はたいてい読んでいるが、いや正確に言うとたいていページをめくってはいるのだが、あれら膨大な著作の基調をなすメッセージが、シブサワの場合ほ…

当たりとの遭遇

《続き》傍線、書き込み、はさみ込んだ葉書や裸写真(『urecco』が一番綺麗に撮っていた頃の「名作」ばかり)、ひょっとして万札、千円札、当時の記念切手類、一切ノーチェックだから、そういうの含めて関心ある向きの、ただ一度っきりの幸運を祈ります pic.…

学魔本を求めて

学魔本を求めてまたまた古書ほうろうへ。これで三度目か四度目だと思う。この店のよいところは、「学魔本」というコーナーを特に作ることなく、あちこちの棚に分散して置いてあるところである(ときには均一本の中にまで!)。おかげで。宝探しの気分であち…

学魔本放出を巡る誤解を正す

駒場のとある古書店主が今回の学魔本放出について、日記で触れている。「懇意でもないのにかっさらいやがって」という嫉妬と羨望が見え隠れする嫌らしい文だけれど、そのせいかどうか、どうも認知に歪みが生じているようだ。同業者なんだから、ちゃんと裏を…

学魔本を求めて

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リフレクトする病

何を隠そう、拙訳『探偵ダゴベルトの功績と冒険』の解説は、高山宏『殺す・集める・読む』の影響を受けて書かれたものだ。だからこの本を一度は買って読んだことは確かだ。だが今、その内容は揮発したように頭から消えている。おまけに本までどこかに行って…

『殺す・集める・読む』復刊に寄せて

殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ)作者:高山 宏東京創元社Amazon 「推理小説はなぜこの世にあるのか」とか、「現代社会において推理小説はどんな意味を持つのか」とか、「なぜ推理小説は一般大衆に愛好されるのか」とか、そういうたぐい…

見た目が9割

形象の力:合理的言語の無力 (高山宏セレクション〈異貌の人文学〉)作者:エルネスト・グラッシ白水社Amazon この本は訳者解説でも仄めかされている「ハイデガー対イタリア・フマニズム」の書として読むと面白いと思う。最初のうちこそ、「企投(エントブルフ…

Had I But Known

パラドクシア・エピデミカ ― ルネサンスにおけるパラドックスの伝統作者:ロザリー L コリー白水社Amazon 両世界日誌によれば、『パラドクシア・エピデミカ』ではironyを「複眼視」と訳しているそうだ。しまった。拾い読みしかしてなかったので気づかなかった…

お茶目な注について

『パラドクシア・エピデミカ ― ルネサンスにおけるパラドックスの伝統』の巻末に林立する「おかたい注」に混じって、「私もどこそこでこの目で人魚を見た」という注があるそうだ。訳者あとがきにはそう書いてあった。遅読ゆえまだその箇所には到達していない…

C感覚とY感覚(2)

ダールグレン(2) (未来の文学)作者:サミュエル・R・ディレイニー国書刊行会Amazon パラドクシア・エピデミカ ― ルネサンスにおけるパラドックスの伝統作者:ロザリー L コリー白水社Amazon ……ということで、ベローナへの赤毛布の旅からようやく帰ってきた…

C感覚とY感覚

パラドクシア・エピデミカ ― ルネサンスにおけるパラドックスの伝統作者:ロザリー L コリー発売日: 2011/06/18メディア: 単行本本書の「訳者あとがき」には、「……コリーの主著に「パラドックスとパラダイス」という絶品書評を呈して「戦友」を鼓舞したのがイ…

だれもが20則を愛していた

パラドクシア・エピデミカ ― ルネサンスにおけるパラドックスの伝統作者:ロザリー L コリー白水社Amazonアメリカ文学史作者:平石 貴樹松柏社Amazon おそるべき見立て殺人の物語『だれもがポオを愛していた』の作者である平石貴樹氏の『アメリカ文学史』は、…

百科事典=小説

訳者解説によれば『ゼーノの苦悶』の原題を直訳すると「ゼーノの意識」となるそうだ。なるほどこれなら分らぬでもない。「ゼーノの苦悶」という邦題の落ち着きの悪さは――たとえば『ドグラマグラ』が外国語に翻訳されて『呉一郎の苦悶』と題されたらどうだろ…

学魔見参

超人高山宏のつくりかた (NTT出版ライブラリーレゾナント)作者:高山 宏NTT出版Amazon 亀田親子の一件で世間はかまびすしいが、どこかに似た雰囲気の人がいたなあ……誰だったかなあ……と思っていたら、おうそうそう、高山宏御大だったよ。ということで御大の新…

いろいろ11

風景と記憶作者:サイモン・シャーマ河出書房新社Amazon 稲賀繁美氏の連載が読みたいばかりに、月刊『あいだ』の定期購読を申し込む。 今月号はワシントン・ナショナル・ギャラリーのメロン・レクチャーでサイモン・シャーマの講演を聴く話。ちょっと引用――「…

もういないルドルフ2世

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化作者:バーバラ・M. スタフォード国書刊行会Amazon 「ボディ・クリティシズム」はただいま第四章を読み中。ここらへんに至って、ようやく著者の言わんとするところが朧ろに見…

脳髄はものを考えるところか?

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化作者: バーバラ・M.スタフォード,Barbara Maria Stafford,高山宏出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブ…

身体による批評

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化作者:バーバラ・M. スタフォード国書刊行会Amazon 「黒死館殺人事件」一巻を覆いつくすメタファの大密林の肝をなすものといえば、一に身体、二に視覚、つまり眼科をメインと…