マリー・ボナパルト

叙述トリックの隠された動機

松山俊太郎翁は『綺想礼讃』のなかで「『密室殺人』の何割かは作者のエディプス・コンプレックスを隠された動機とするだろう」と述べている。つまり密室は母胎のシンボルであって、被害者に擬された父をそこで殺すことで、作者はひそかな願望を満たすという…

黒死館あれこれ

「篠田真由美お仕事日誌」の2月25日のところを興味深く読んだ。この日記では小栗が『グリーン家』のどういう部分に不満を持ち、それを『黒死館』でどう変えていったかを推測しているのだが、実作者でなければ気づかないであろう点がいろいろあって面白い。と…

続松山翁とポー

モーセと一神教 (光文社古典新訳文庫)作者:フロイト光文社Amazon 松山俊太郎翁のポー解釈は、マリー・ボナパルトの『エドガー・ポー』の影響を受けていたように思う。ここでいきなり脱線すると、この『エドガー・ポー』といい、プシルスキーの『大女神』とい…