2003-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『レオナルドのユダ』

これはペルッツの遺作である。死後に遺された原稿を、弟子で友人のレルネット=ホレーニアが整理して決定稿としたらしい。それかあらぬか、ペルッツの作品らしからぬ、すっきりとした仕上がりになっている。あのペルッツ小説の醍醐味、迷宮のただ中で置いてき…

『第三の魔弾』

訳者の前川道介氏がこの小説を翻訳していたときは、まだヨーロッパでもペルッツの再評価は始まっていなかったらしい。1920年代にはベストセラーとなりながら、ナチスの台頭以降永らく忘却の淵に沈んでいた彼の小説群は、80年代後半に本国のオーストリアはも…

『夜毎に石の橋の下で』

ルドルフ2世時代のプラハを舞台にした連作短編集にして、おそらくペルッツの最高傑作のひとつ。王ルドルフ2世とユダヤ人の裕福な商人モルデカイ・マイスル、それに「偉大なるラビ」を中心人物として、錬金術師・宮廷画家・道化師・武人などが入れ替わり立…