2014-01-01から1年間の記事一覧

天然叙述トリック

*赤い右手 (創元推理文庫)作者: ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ,夏来健次出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/11/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見る* 『赤い右手』の文庫版が出た。 これは実にハラハラドキドキさせる小説だ。…

ここにも慈悲はない

漏れ伝わる噂によると今度のサキ新訳は和爾桃子さんが手がけるだそうだ。これは非常に楽しみだ。というのは和爾さんのジョン・コリア訳に堪能したことがあるからだ。 たとえば「特別配達」。この短篇には拙豚の知っている限りでは、和爾訳の他に二種の訳があ…

外国の探偵小説がたくさん

大掃除をやりながら本をパラパラめくっていると、こんな文章がありました。 先生の家に来てみると、外国の探偵小説が沢山あった。「詩学」へ詩を発表されると、原稿料はいいから、同じ社から出している「宝石」を毎月送ってくれるようにと頼まれた。 箱根の…

忘年会にて

* 昨日、ある忘年会に行くと、ある方がある方に熱烈に指南していた。「いいか! チャンスは一度と思え! ギューーーッと抱きしめてブチューーーッとディープキッスだ!!!」まったくもってクリスマスを控え、世間はなかなか大変なことになっている。指南役…

インガオホー

となりの801ちゃん+3 (Nextcomics)作者:小島 アジコ発売日: 2014/11/28メディア: コミック 「となりの801ちゃん」の最新刊を読んでいたらこんなコマがあった。 おお、ブルータスおまえもか! 知っている人には説明する必要もないけれど「マッポー」「慈悲…

いかなる天変地異の前触れか

* 府中駅啓文堂書店で「このミス」2015年版をゲット。いかなる天変地異の前触れか、『両シチリア連隊』が堂々ランクイン、14位に輝いておりまする。投票してくださった方々に感謝いたします。『ボリバル侯爵』に票を入れてくださった方もいらっしゃいました…

文学フリマ御礼

* ご来店いただいた方々、どうもありがとうございました。おかげさまで持っていったものはほぼ完売しました。もっと頑張ってたくさん作っていくべきだったと反省しきり(いつもですが……)。また今回はいつもの美女売り子さんに代わって飛び入りで歌人の玲は…

文学フリマ販売物一覧

* 明日文学フリマの販売物一覧です。この他にも(もし本が見つかったら)何か持っていくかもしれません。 * * 「在庫僅少本」は本当に2,3冊しかないので売り切れの際はなにとぞご容赦を…… では明日、会場でお会いしましょう! *

秋の文学フリマ新刊

* 御無沙汰してます。 * 早速ですが、文学フリマがいよいよ来週月曜に迫りました。今回の新刊はこれです(予価500円)。 * * あと、これは商業出版物ですが『両シチリア連隊』を何冊か持っていきます。こちらは消費税をサービスして2,484円→2,300円。会…

エイクマン?

カオスノート作者:吾妻ひでおイースト・プレスAmazon吾妻ひでおを読み始めたのは人より遅れていて、積極的に注目しだしたのは『陽射し』がハードカバーで出たあたりからではないかと思う。これまで読んだうち一番よかったのは『宇宙放浪』。シェクリーに代表…

腰を抜かした

某氏の奥方推奨のジュリアン・グリーン『幻を追う人』を読む。タイトルは直訳すると「幻視者」。ネルヴァルみたいで期待させるではないか。 でも実際に読んでみると重苦しい人間関係のなかで陰々滅々としたストーリーが展開する。「あのねおっさん、わしゃか…

中井愛の美学

*中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)作者: 本多正一出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/06/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (15件) を見る* 昨日に引き続き帯の話。 『両シチリア連隊』の帯の惹句は…

ドゥルーズ/ホレーニア

* ミニスたん、『両シチリア連隊』の真摯な感想をどうもありがとう! 深く読み込んでくれて嬉しいよ。宇野邦一の引用の件も覚えててくれてて感謝。宇野氏はおそらくジル・ドゥルーズ経由でレルネット=ホレーニアを読んだのだと思います。 ドゥルーズは絶筆…

怪作ふたたび

* 『怪奇文学大山脈III』の再校ゲラを粛々と見ました。 だが内容はあまり粛々とはしていません。『大山脈II』に収録されて一部で物議をかもした「紫色の死」のマイリンクが、『III』でも懲りずにパワーアップしてまた登場します。あと8年前にブロクのネタに…

斥候記録

『両シチリア連隊』の状況を偵察に神保町に赴く。おお、最初に入った三省堂本店でいきなり在庫なし! これが売れ行き大好調のためだったらいいのだけど、まずそんなことはあるまい。次に書泉グランデに一歩入ってとたんに驚愕。原色渦巻くラノベの館と化して…

Lyrical Ballads

*郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)作者: A.E.コッパード,Alfred Edgar Coppard,西崎憲出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/09/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (10件) を見る* コッパードはラブクラフトのように神話を創るわけで…

本日発売

* 『両シチリア連隊』本日発売! みなさまなにとぞよろしく。紀伊国屋新宿南口店に偵察に行ったら二層に平積みしてくれていました。ありがたいかぎりです。 * 『怪奇文学大山脈III』の再校ゲラも来ました。こちらではドイツのウィアード・テイルズと言われ…

無念

* 14日の第二回文学フリマ大阪は、とある事情のため欠席せざるをえなくなりました。期待されていた方々(もしいらしたら)申し訳ありません! (当日出す予定だった幻の新刊↓)

夫婦ゲンカの写真

いよいよ明後日にせまる『両シチリア連隊』の発売。それを記念して、ローマン・ロチェクという人が書いた伝記『アレクサンダー・レルネット-ホレーニアの九つの生』から、作者の写真を二枚紹介しましょう。これが青年時代のレルネット=ホレーニアです。まる…

熊虎奇聞

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)作者:A.E. コッパード筑摩書房Amazon 明日は『郵便局と蛇』の発売日みたいなので、コッパードにちなんだ小ネタをひとつ。乱歩という人は感銘を受けた小説の場面を自作に紛れこませることがある。「虫」には…

トモナリ化

セリーヌの作品〈第13巻〉リゴドン作者:L.F.セリーヌ,和彦, 高坂国書刊行会Amazon 今訳しているのは一種のピカレスク小説なので、景気付けに中野好夫訳の「ヘンリー四世」やセリーヌの亡命三部作を読んでいる。 伝説の雑誌「幻想文学」の古い号に、どなただ…

看板に偽りなし

* 当ページの一番上のお知らせに「釘一本にいたるまで」と書いてありますが、事実、『両シチリア連隊』には開巻第一ページ目から釘がお目見えします。それだけではありません。ふつう釘というものはトンカチで板の中に打ち込まれるものですが、一ページ目に…

科学小説は噴飯に限る

* 注文が殺到しすぎて版元がテンテコマイという噂の「噴飯文庫 戦前『科学画報』小説傑作選 第一号」。 これは凄い。どんなに凄いかというと、たとえばこんなページがある。 * * まさに食べかけたご飯を噴くようなタイトル(とイラスト)だけれども、作者…

相対性理論コンサート

* に行ってきました。気合の入ったよいライブでした。 始まる前までは演奏はわりと軽めなのかなとなんとなく思っていたら、嬉しいことにこれがすさまじくヘヴィーでタイト。ドラムスの人が二人いるし、何よりベースの音圧がすごい。心臓が同期してバクバク…

Hoaxへのいざない

バンヴァードの阿房宮: 世界を変えなかった十三人作者:ポール コリンズ発売日: 2014/08/26メディア: 単行本 本書におさめられた13のトピックのうち、イギリスの話が4つ、フランスの話が2つ、そして残りの7つがアメリカの話だ。それぞれの話には、それぞれの…

とあるミステリ

* 日記というからには毎日書かなければいけないような気がしてきた。今日からなるべく毎日書くことにしよう。いつまで続くだろうか。 * とある哲学者が生涯一作だけ書いた、とある本格ミステリについて、とある出版社から問い合わせが。さっそく返信をした…

特大チケット

* 相対性理論のチケットが来た。来たのはいいのだけれど、なんだかやけに大きい。一番上の棚の右側に文庫本(『魔術ミステリ傑作選』)を置いてみたので、どれだけ大きいかはなんとなくわかると思う。コンサートに行くのは久しぶりだが、最近のチケットはど…

奇妙な痕

怪奇文学大山脈 (2) (西洋近代名作選 20世紀革新篇)発売日: 2014/08/29メディア: 単行本 待ちに待った『怪奇文学大山脈II』が出た。西崎憲氏大活躍の巻である。翻訳者の末席を汚したため一足先に送ってもらったのだが、届いたその日に読み上げて、それはも…

亀鳴くや

怪奇文学大山脈 (1) (西洋近代名作選 19世紀再興篇)発売日: 2014/06/28メディア: 単行本 翻訳をしていて、「そのとき*のように大きな猫が現われた。」みたいな文に出くわしたとする。ところが「*」の単語の意味がわからない。もちろんそんなときは辞書を引…

マルドロールさんに叱られた

* スコアも出てるじゃないか……これはほしい……ほしすぎる……よしゲラが終わったら買いに行こう……。 などと考えていたプヒ氏のもとに一通のメールがまいこんできた。エディション・プヒプヒを扱っていただいている古書肆マルドロールさんからだ。 * 垂野様 い…