文学フリマ収穫(その4)

その4は「サメねえちゃん」でおなじみのサメンバーさん待望の新刊です。なんと『サメンバーレポート』#4は「表記ゆれ」という肺腑を突く特集なのです。ここでは表記ゆれは校正の立場からではなく言語学的に考えられています。「あることばで表記ゆれが観…

文学フリマ収穫(その3)

その3はサークル「管弦楽団 響」さんの「クラシック冥曲案内 ハズす側の論理 ハース版最終稿」。アマチュアオーケストラで活躍されている方の本です。軽妙な文体でクラシックの名曲と名盤を紹介しています。執筆者の一人のお嬢さん(表紙画担当、通称画伯)…

文学フリマ収穫(その2)

文学フリマ収穫のその2は、柿内正午さんという方の「プルーストを読む生活」。これは何というか、ひょんなことから『失われた時を求めて』(井上究一郎訳)全巻を買ってしまった青年が、毎日少しずつそれを読みながらしたためている日記です。といっても内…

文学フリマ収穫(その1)

日曜の文学フリマに買い専で参加してきました。収穫その1としてご存知噴飯文庫の新刊。いつもそうですが商業出版してもおかしくないほどのクオリティです。表紙がすばらしいですね。吉邨二郎という人の絵だそうです。どこからこんな絵を見つけてくるのか………

ゲラ紛失譚

エイリア綺譚集作者: 高原英理出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2018/11/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る もうすぐ『イヴ』の再校ゲラが来るはずだ。来たら赤字を入れて送り返すのだけれど、こんなときいつも思うのは「これ途中で紛…

驚愕の十文字

ジャーゲン (マニュエル伝)作者: J.B.キャベル,中野善夫出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2019/10/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 「マニュエル伝」美麗内容見本がわが家にもやってまいりました。そしてそこに驚愕の十文字があったのでご…

わが解説作法

推理小説にはたまに「読者への挑戦」というものが挿し挟まれている。つまり、手がかりはすべて与えたから犯人を当ててみろと作者が読者に挑戦しているのだ。拙豚はこういう挑戦は受けて立つほうである。紳士たるもの、白手袋で頬をはたかれれば拾わざるをえ…

魔界参入

ついにわが陋屋にも到来した美の司祭四人の饗宴! 漏れ聞く噂によれば、白玉楼中で憩っていた澁澤を降霊術でむりやり召喚して作品選択をさせたのだという。えらい迷惑な話のような気もする。たぶん「まあ蔵書目録や伝記の恩もあるからな」としぶしぶ応じてく…

『幻想と怪奇』の思い出

メディア: この商品を含むブログを見る 半世紀前の雑誌『幻想と怪奇』の傑作選が出るという。なんという素晴らしい企画ではないか! 今の人には『幻想と怪奇』は、われわれにとって『新青年』がそうだったような、名のみ聞く伝説の雑誌と化しているのではと…

外国語内外国語

ギリシャ棺の謎【新訳版】 (創元推理文庫)作者: エラリー・クイーン,中村有希出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る 外国語で書かれた小説の中に、別の外国語が入っていることがある。たとえばエラ…

篠沢教授のチンチンチン

今回の『イヴ』の翻訳で一番の難関だったのが冒頭のソネットの翻訳である。「だった」とつい過去形を使ってしまったが、初校ゲラ時点ではあまり決定稿という感じはしない。とはいえ『ジャーゲン』冒頭にある謎の五行詩ほどは難しくはないと思うから、ここで…

最後的対話

中国の本もずいぶん手に入れやすくなった。なにしろアマゾンでぽちっとするだけでいいので止められない止まらないである。装丁もひところにくらべればずいぶんと垢ぬけてきたと思う。で、最近買ったのがこの『最後的対話』の二冊。この本は英独仏西版がすで…

ありがとうブリリア

『イヴ』初校ゲラをたった今ヤマト便に出してきたところだ。初校ゲラというと普通の人は確認あるいはバグフィックスのため見るのであろうが、拙豚にとってはここからが本番なのである。赤潮にやられた海のように真っ赤に染まるのである。関係者諸氏の迷惑は…

全部買ってもいい

東京創元社さんから60周年記念ブックケースをいただきました。どうもありがとうございます。売り上げに全然貢献していない、それどころかきっと足を引っ張っているであろうわたしにまで下さるとは恐縮です。カシオの電子辞書がちょうど入る大きさなので重宝…

なのめに書き流したる

下の画像は特に名を秘す版元の、昔の本に挟まれていた愛読者カードだ。ここを見ている方なら「あああれね」とピンとくる方も多いと思う。 ごらんのとおり斜めになっている。印刷ミスではないようだ。意図的に傾けているらしい。古老の話によればこの本の新聞…

くとぅるーちゃんも驚愕

ただいま『イヴ』の初校ゲラと格闘中である。鉛筆で丹念に書き込まれた藤原さんの疑問出しを見ていると、こんなに手間をかけさせて申し訳ない、と思うと同時に、「オレってこれほど英語ができなかったんだなあ」という感慨めいたものも湧いてくる。還暦を越…

いわゆる差別語

翻訳をする上で、特に古い作品を翻訳する上で、いわゆる差別語の問題は避けて通れない。わたし自身はそういうものが出てきたときは、原則として穏当な語に言い換えることにしている。すなわち大勢順応主義である。スッタニパータというありがたいお経にも書…

サンリオ文への挑戦

サンリオSF文庫といえば裏表紙の紹介文が懐かしい。本のカバー等に記された内容紹介文は、本来その本への興味を持たせるために書かれるものであろう。ところがサンリオSF文庫裏表紙の紹介文には、そんな低次元の目的なんか気にしてたまるかとばかりに、ひた…

ヴァリスの訳注

サンリオSF文庫『ヴァリス』の訳注といえば、初読以来気にかかっているところが一か所ある。と書くと、「ああ、あそこね。うんうんわかるよ」とうなづいてくれるかたも何人かおられると思う。そう、ここである。 ちなみにこの「トラヴル」は創元推理文庫版*1…

風もないのに

ジャーゲン (マニュエル伝)作者: J.B.キャベル,中野善夫出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2019/10/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『イヴ』の初校ゲラが来た。当分はこれにかかりきりとなるだろう。 それにしても毎度のことながら表記揺れ…

峯太郎ホームズの美点その他

山中峯太郎訳のホームズについては前にも書いたが、いまだその魅力から離れられず、とうとう古本屋でポプラ社版の安いのを見つけたら買うようにまでなった。病膏肓に入ったというべきか。フッフッフー。峯太郎訳はたしかに超訳・怪訳には違いないのだが、わ…

「なんなら」新用法への期待

二松学舎大学・島田泰子教授の論文「副詞「なんなら」の新用法」をたいそう興味深く読んだ。二松学舎というと確か畏友小野塚力さんがその大学院を出たはずだが、教授陣も優れた人材がそろっているようで頼もしい。特にこの論文の「はじめに」に記された、一…

文学フリマ御礼

昨日は台風の近づく中、文学フリマ大阪に参加してきました。スペースに来てくださった皆さま、ありがとうございました。文学フリマは開催場所によってそれぞれ雰囲気が違うものですが、大阪の場合は溌溂というか、シャキシャキというか、浪速の底力を見せて…

ナイフで決闘

牛島氏の逝去後、ボルヘスの翻訳は悲しいことにいまだに、新訳といえど油断がならない。十数年前に出たある本は、冒頭から「スルミナ」という地名が連発されていて読む気が大いに削がれた。むろん「スミルナ」の誤植である。(もっとも拙豚の見たのは初版だ…

K書K行会の美風

K書K行会には美風があって、「〇〇コレクション」とか「〇〇叢書」とか「〇〇の快楽」とか「〇〇の小説」とか「〇〇の作品」とかいうセット物の場合、最後の一冊は出ても出なくても、あるいはどんなに遅れて出ても、誰も何も言わない。きっとみんな「そうい…

ジーン・ウルフも負ける

キャベルのマニュエル伝を分担して訳している安野玲さんから、訳語のすりあわせについてメールをいただいた。そのメールによると、キャベル訳出はジーン・ウルフよりも大変なのだそうだ。ジーン・ウルフより大変とはすごいですね、と言うとなんか人ごとみた…

『幽霊島』の刊行に寄せて

幽霊島 (平井呈一怪談翻訳集成) (創元推理文庫)作者: A・ブラックウッド他,平井呈一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/08/29メディア: 文庫この商品を含むブログを見るあなたが一流のレストランに行ったとしよう。コースを一通り堪能し、コーヒーを啜…

巨大豆本あらわる

巨大豆本 あらわるあらわる~ あらわれないのが小さい豆本です~ということで、大方の危惧のとおり、酷暑のせいもあって、『怪奇骨董翻訳箱』特典豆本はあられもなく巨大化してしまいました。本来ならここに画像を載せるべきかもしれませんが、あまりに大き…

豆本表紙完成

豆本表紙が完成しました。Thinkpadのポインティングデバイス(キーボードの真ん中にある赤いポッチ)だけで絵を描こうとするとかなり苦戦を強いられるということがわかりました。骨董箱の印税が入ったらペンタブレットを買おうと思ってます。

豆本応募御礼

豆本応募は結局締め切りまでに90近く来たそうです。応募して下さった皆さんありがとうございます。お盆休みの影響もあり(けしてコミケの影響ではないですよ?)皆さんへの発送は20日頃になる予定です。申し訳ありませんがいましばらくお待ちください。【8/2…