殊能将之

叙述トリックの隠された動機

松山俊太郎翁は『綺想礼讃』のなかで「『密室殺人』の何割かは作者のエディプス・コンプレックスを隠された動機とするだろう」と述べている。つまり密室は母胎のシンボルであって、被害者に擬された父をそこで殺すことで、作者はひそかな願望を満たすという…