アンドレ・ブルトン

アンソロジーの終わりかた

怪奇小説傑作集4<フランス編>【新版】 (創元推理文庫)作者:G・アポリネール 他東京創元社Amazon 澁澤龍彦の編纂による『怪奇小説傑作集4』はアンソロジー史に残る名アンソロジーだと思う。と言うと一知半解の徒は「あれはカステックスのアンソロジーが種本…

一考さんの鍵

澁澤龍彦はアンドレ・ブルトンから一本の鍵をもらったという。かくいうわたしも、むかしむかし、渡邉一考さんから一本鍵をもらったことがある。ほかに革ジャンパーももらったけれど、そちらは今の話に関係がない。まだ一考さんが赤坂見附の「ですぺら」でマ…

猫の力

ファイン/キュート 素敵かわいい作品選 (ちくま文庫)筑摩書房Amazon 猫のチカラ - 佐竹 茉莉子さんの『道ばた猫日記』にこんな話が紹介されている。あるところに86歳のおばあさんがいた。認知症が進行して周囲に無反応になり、「首をうなだれて座っているだ…

パリのメコンデルタ

エディション・イレーヌ提灯持ちシリーズ第二段として、当日記の二押し(という言葉があるのかどうかは知らないが)、松本完治訳『至高の愛―アンドレ・ブルトン美文集』について語ろうと思う。 これを読む人は必ずや従来のアンドレ・ブルトン観がでんぐりか…

優雅な下品

カニバリストの告白作者:デヴィッド・マドセン角川グループパブリッシングAmazon サドの小説とサドの書簡のあいだには少しばかりへだたりがある。――凄惨と退屈とがまだらに混じる小説は通読が苦痛だが、書簡は読んでたのしい。なぜならそこには彼の小説に乏…