2012-01-01から1年間の記事一覧

冬の祭典告知

* * 明日はいよいよ冬の祭典一日目。当方スペースは東オ-03です。 残念ですが今回は新刊は一回休みです。既刊のうち持っていく予定のものは以下のとおりです。 * 作者 タイトル 値段 レオ・ペルッツ 主よ、われを憐れみたまえ 500 レオ・ペルッツ ボタン…

すごいもの

命のたれ 小料理のどか屋 人情帖7 (二見時代小説文庫)作者:倉阪 鬼一郎二見書房Amazon すごいものを見た人がいるらしい(ここ)。そ、そんなにすごいのだろうか……。一度でいいから拙豚も見たいものだ。 それはともかく、今度の『小料理のどか屋人情帖』は、…

はや死の手にぞわたされつ

幻想小説神髄―世界幻想文学大全 (ちくま文庫)筑摩書房Amazon 漏れ聞くところによれば、作品の配列は生年順なのだという。しかしとてもそうは思えぬほど、この並びは巧緻を極めている。なにしろ開巻いきなりジャン・パウルが神の不在を告げるのだから。ここで…

サラゴサなう……

The Manuscript Found in Saragossa (Penguin Classics)作者:Potocki, JanPenguin ClassicsAmazon 渋谷のシアター・イメージフォーラムで「サラゴサの写本」を見てきました。あこがれの作品が見られて大感激。余勢をかって英訳本もざっと読みましたが、枝葉…

文学フリマ御礼

* 弊ブースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました。おかげさまで新刊は九割がた売れるという理想的な状態となりました。しかし旧刊は、閉会近くなると売り切れるタイトルも出てしまいました。申し訳ありません! このくらい持っていけば大丈…

文学フリマで売るもの一覧

* いよいよ明日に迫る文フリ。二階のオ13、14のブースでお待ちしています。よろしくお願いします。 新刊はおかげさまでなんとか完成の見込みがたちました。今回は山羊が食いすぎて腹をこわすほど作る予定なので、まず売り切れることはないでしょう。 * 新…

文学フリマ準備状況(その四)

* レオ・ペルッツ「ボタンを押すだけで」の表紙完成 * * こちらは「主よ、われを憐れみたまえ」の表紙 * * どちらも内容とミスマッチの気がしないでもない。それにしても肝心の本文ができあがっていない。ちょっとあせる。 *

文学フリマ準備状況(その三)

* * ペルッツ「主よ、われを憐れみたまえ」の表紙絵(作成中)。 やはりブルーサティン『驚異の術』の挿絵より。かっこいいでしょう、ふおふおふお。でも内容とまったく関係がないのはここだけの秘密だ。 *

文学フリマ準備状況(その二)

* * レオ・ペルッツ『ボタンを押すだけで』の表紙絵進行中。 元絵はマンリオ・ブルーサティン『驚異の術(Arte della Meraviglia)』の挿絵「アルセナールの爆発と火災(Ignazio Colombo, Scoppio e incendio nell'Arsenale, Venezia 1793)」。 * かっこい…

文学フリマ準備状況(その一)

* * いよいよあと10日と迫った文学フリマ。今回のエディション・プヒプヒのブースは二階オ―13,14。両隣は探偵小説研究会さんと黒死館付属幻稚園さんです。ううう……これは手ごわい……「前門の虎、後門の狼」とはこのことでございましょうか……。 * という…

最後の姑

地獄 英国怪談中篇傑作集 (幽クラシックス)メディアファクトリーAmazon 「走って!帰ってきた!桜庭ほんぽっ!」。五人目の姑はあんまり知らない人だった。知っているのは国籍と性別くらい。この姑の本を読むことは一生ないんじゃないかな……というのもまずい…

あなたは読者で犯人

かくも水深き不在作者:竹本 健治新潮社Amazon 一人称で書かれたミステリで、犯人は「わたし」だったというものがある。クリスティの某作みたいな「記述者が犯人」とは違う。どこが違うかといえば、「わたし」自身も、自分が犯人であることを、探偵に指摘され…

パノプティコンの青い空

*空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)作者: 寮美千子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/28メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る* 快著『ドバラダ門』に書かれてあるように、ジャズピアニスト…

姑とロールキャベツ

東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)作者:石井 好子河出書房新社Amazon 先週の土曜は松山翁の講義の日だった。ねじの回転にも行きたかったが、惑星直列のごとく日が重なっては仕方がない。後髪を引かれる思いで消人栓を通り過ぎた。だがしかし…

姑の視点は天使

紀伊国屋書店の桜庭ほんぽっ! 「姑にしたくない女」の第二弾はヴァージニア・ウルフ。おお、なかなかに鋭い選択! 小説作法上の用語に「視点」というものがある。中島梓の『小説道場』でも口を酸っぱくして語られていたが、ことにミステリではこの問題はな…

桜庭ほんぽっ!の怪いろいろ

*本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)作者: 桜庭一樹出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (16件) を見る* 数日前から開催されていると言われる桜庭ほんぽっ!に行ってきた(紀伊国屋のほう) 。クリ…

音叉小説

飛行士と東京の雨の森作者:西崎 憲筑摩書房Amazon 雨の日にしか読んではならぬ本だそうだ。晴れた日にページを繰ると、名状しがたい災厄が起こるという。幸いにもここ数日の天気の崩れのおかげで、ようやく手にとれるようになった。巻頭は詩的な「理想的な月…

Nという町で

C線でちょっと郊外に出たところに、Nという町がある。この町からは真偽不明の不思議な噂がいろいろと漏れ伝わってくる。獰猛な猫が人を襲うとか、道のまんなかに象が浮くとか、ラーメンにパイナップルを入れて食べるとか、行列の絶えぬ洋食店があるが、どん…

【幻文名状しがたいコーナー】

おかげさまで『夜毎に石の橋の下で』はまずまず好評の模様。読んでくださったみなさま、どうもありがとうございます。ところで丸善本店(丸の内OAZO店)にレオ・ペルッツコーナーができているのを今日発見! SFの下あたりの棚にちゃんと「レオ・ペルッツ」と…

終末状況

不可能楽園 〈蒼色館〉 (講談社ノベルス)作者:倉阪 鬼一郎講談社Amazon 読んだ。そしていつものことながら完膚なきまでに打ちのめされた! 途中まで、冒頭で葬式が行われた人物が実は生きていてそいつが首謀者!とか考えていた。しかしそもそもクラニー作品…

伝説復活

幻想文学講義: 「幻想文学」インタビュー集成国書刊行会Amazon 伝説といえばこれ以上の伝説もないくらいに伝説の雑誌『幻想文学』。その『幻想文学』誌に掲載された「一書一会」などのインタビューを集成した本が来週に出るらしい。おお、なんという快挙!ま…

うたう百物語

うたう百物語 Strange Short Songs (幽ブックス)作者:佐藤弓生発売日: 2012/08/03メディア: 単行本三十一の文字は、力をも入れずしてあめつちを動かすと、むかし誰かが言ったそうな。その後二世紀ほどして、カバラの秘法が『ゾーハル』として集大成された。…

『夜毎』を置いてある店

夜毎に石の橋の下で作者:レオ・ペルッツ国書刊行会Amazon アマゾンが「在庫あり」になりました!東京のリアル書店では下記の店に複数冊置いてあるようです。 新宿 紀伊国屋書店本店 新宿 ブックファースト 渋谷 丸善&ジュンク堂 神保町 東京堂書店 吉祥寺 …

ペルッツ明日発売!

夜毎に石の橋の下で作者:レオ・ペルッツ国書刊行会Amazon ついに! 『夜毎に石の橋の下で』が明日発売です。よろしくお願いします。「橋の下」というのは時節柄どうかなと思わないでもないけれど、ルドルフ二世が伝統芸能の補助金を切るとかそういう話では全…

樹木的成長

中村真一郎 青春日記 (中村真一郎collection)水声社Amazon 中村真一郎の一高時代の日記が翻刻されるということは、ずいぶん前から耳にはしていたが、今年ついに、それが一冊の本としてまとまった! つつがない出版を慶賀するとともに、関係者のおそらくは一…

好きよキャプテン

二人のキャプテン作者:ヴェニアミン・アレクサンドロヴィチ カヴェーリン郁朋社Amazon ヴェニアミン・カヴェーリンといえば、大昔に妖精文庫の第三期で『師匠たちと弟子たち』というすばらしく訳の分からない本が出て、その後どこかから黄色い表紙の本が出て…

楽しい妖怪手品

妖怪手品の時代作者:横山 泰子青弓社Amazon 著者の定義によれば「妖怪手品」とは、「幽霊出現などの怪異現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽」。西洋種で言えばテリー・キャッスルとかマックス・ミルネールの世界です。ちょうちんの胴部分をいくつ…

ROM最新号

ROM最新号はデューセの翻訳をはじめとして、いつもにもまして読み応えがある。なかでも驚いたのは森英俊氏の「Book Sleuth」という連載。今回は山中峯太郎編〈ポー推理小説文庫〉なる珍本がとりあげられているが、これがすごいのなんの。たとえばこのシリー…

南柯の夢ふたたび

むかしむかし、「TVは世界人民の敵だ!」という貼紙を貼った古書店が早稲田にあったころ、『幻想卵』という同人誌があった。いや、あったらしい。現物は一度も目にしたことはなく、ただ古老の噂話に聞くのみ。倉阪鬼一郎さんがここに発表した作品のいくつか…

星界の果て

今日は「赤き死の消人栓」の日。さくら水産は学生がいっぱいでたいそうやかましい。素天堂氏らと、2ちゃん某スレの逃亡先はいったいどこにあるんでしょうね?という話になった。はてさて、第二ファウンデーションはいずこに?それにしてもポーの文章はすば…