2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧
『最後の審判の巨匠』の解説を書く参考用にと注文していた本が今ごろ届いた。あたかもラテン系出版社のような暢気さである。まあでも来ただけよかった。 しかしこのCorianという出版社はなかなか奇特な版元で、その出版物はSFと幻想文学の研究書にほとんど特…
第三ファントマ(a.k.a.ヨーイチ)さんから教えてもらったエルンスト・ユンガーが1985年、御年90歳のときに書いた探偵小説である。舞台は19世紀末のパリ。海峡を隔てたロンドンで、切り裂きジャックが世間を騒がせていたとあるから、1888年の話なのだろう。…
下北沢の幻遊社は学生時代からお世話になっている店だ。昔ながらの古本屋がガンガン消滅していくなかで、店のたたずまい、扱っている本、それから良心的な値付けに至るまで、20年以上前のままなのはまったく素晴らしい。線路の向こう側の某書店も、小鳥の世…
奥歯さんの命日に合わせたわけでもあるまいけれど、TrollandToad.comはいろいろくとぅるーちゃんシリーズの新作を出しているようだ。右の画像は「ちびしょごすちゃん」($11.95)。か、かわいい……のだろうか? 触手についてる目玉が二つだったり三つだったり…
モーリス・ルナール(1875-1939)はJ-H・ロニーと並び戦前フランスの幻想的SFを代表する作家である、とシュネーデルの「フランス幻想文学史」では位置付けられているが、ミステリと称して差し支えない作品も何作か書いている。中でもこの「?彼?」(1927)など…
いやそれは、あの手記が書かれたのは事件が起こってから二十年後なので、主人公にも自分を客観的に振り返って、反省する余裕が出てきたのではないかと。しかしあの最後のフレーズ「そしてマイルズの小さな心臓は、魔を祓われて、止まっていました」は謎だ。…
ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫)作者:ヘンリー・ジェイムズ東京創元社Amazon 「蒸気にはスコロクというもんが付いておる。それがないと船は走らんのや」 私に云い聞かせながら、彼は私が描いた汽船のおしりに、即ち水面下に隠れているはずの部分…
江戸川乱歩全集 第17巻 化人幻戯 (光文社文庫)作者: 江戸川乱歩出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/04/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (14件) を見る 「ささやかな短篇で、たとえば、メリメの如く、カルメンからコロンバへ、さらには人を殺すヴィナ…
単行本で60ページあまりの短い長篇。なんだか中絶作のような感じもする。 「未来のイブ」みたいな、機械人形が活躍する話をタイトルから想像したがそうではなかった。たぶん「アーティフィシャル(人工的)」という言葉は、例えば三島由紀夫を指して「人工的」…
足をお運びいただいた皆様、どうもありがとうございました。おかげさまで大盛況、楽しい会となりました。 (ビブリオテカ・プヒプヒといえば、やはり会の席上である人と話していて、今度の夏コミ新刊はファーバンクの「人工皇女」にしようかとチラと思った。…
悪魔のような女たち (ちくま文庫)作者: ジュール・バルベードールヴィイ,Jules Barbey D'Aurevilly,中条省平出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (13件) を見る いままで数種の翻訳が出て…
ユンガー=シュミット往復書簡―1930‐1983作者: ヘルムートキーゼル,Helmuth Kiesel,山本尤出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2005/03/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見るナボコフ=ウィルソン往復書簡集を買うつもりが…