マルセル・シュオブ

死せる生田生けるプヒ氏を走らす

その後また三日月書店に走り生田旧蔵書を今度は八冊買ってきた。死せる生田、生けるプヒ氏を走らす。 生田といえばある種の人たちには蛇蝎のごとく嫌われているらしい。むかし『東京人』だったかの神保町古書店特集で某老舗古書肆の店主がインタビューされて…

予言大的中

マルセル・シュオッブ全集作者:マルセル・シュオッブ国書刊行会Amazon 二か月ほど前のブログで「いつまでもあると思うな国書本」と注意を喚起したら、その言葉が讖をなしたか、なんと本当に『マルセル・シュオッブ全集』が品切増刷未定になってしまった!で…

いつまでもあると思うな国書本

マルセル・シュオッブ全集作者:マルセル・シュオッブ発売日: 2015/06/26メディア: 単行本 朝日新聞夕刊で礒崎純一さんの「編集者がつくった本」の連載が昨日から始まった。漏れ聞く噂によればあの山尾悠子さんまでが宣伝に駆り出されているらしい。 その第一…

暗躍する秘密結社

秘密結社の手帖 (文春文庫)作者:渋沢 龍彦文藝春秋Amazon 驚異の『マルセル・シュオッブ全集』重版を達成し、Honto年間ランキング七位にランクインさせた某秘密結社の活躍は、読書子のあいだでよく知られているところのものであろう。このたびバベルの図書館…

なぜ素直に喜ばない

『マルセル・シュオッブ全集』7位ランク入りおめでとうございます! しかし国書刊行会の中の人は素直には喜んでいないようです。【トップ10入り】hontoネットストア2015年間ランキング、小説・文学TOP10の7位になんと『マルセル・シュオッブ全集』がランク…

小児十字軍

この前西崎憲さんとお会いする機会があった。西崎さんは締切に追われて大変そうだった。その席で西崎さんはH.H.エーヴェルスのある短篇の話をしてくださった。それを聞きながらなにかひっかかるものがあったのだが、あとからふと気づいた。あれはシュオッ…

宿命の姉妹

ライプニッツ著作集 第II期 第1巻 哲学書簡作者:ゴットフリート・W・ライプニッツ発売日: 2015/05/26メディア: 単行本昨日はM.S.氏*1全集編纂委員会(仮称)の末席をけがし、神保町の片隅で三時間あまり談論風発。そのとき聞いた話なのだが、西荻窪の盛林堂…

全集購入

*マルセル・シュオッブ全集作者: マルセル・シュオッブ,大濱甫,多田智満子,宮下志朗,千葉文夫,大野多加志,尾方邦雄出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2015/06/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る window.twttr = (function(d, s, id) {…

キャプテン・スカーレット

Le Capitaine écarlateAmazon いよいよ今月末に迫るシュオッブ全集の発刊。それに先立ち瀬高道助という人が「マルセル・シュオッブの復活について」という一文を国書刊行会のサイトに寄せている。これを読んで、文中で触れられているバンド・デシネ『深紅の…

最近のうれしいニュース2つ

ボスフォラス以東唯一ともいわれるバベルの図書館分館からメールあり。シュオッブ全集に入れる作品をまた増やすことにしたらしいです。なんと、本国版全集(Les Belles Lettres版やPhebus版など)にさえ入っていない作品も収録される模様。以下メールマガジ…

胎動するシュオブ全集

* 『出版ニュース』1月上・中旬号に「今後の執筆予定」というアンケートがある。そのなかで宮下志朗氏は、『エセー5』、『印刷業の逸話集』、『フランス・ルネサンス文学集』などの翻訳上梓予定とともに、こんなことを書いてらした。 * あと、おもしろい…

シュオブ復活!

* 部屋の隅に埋もれていた『乱世綺譚集』余部15部をマルドロールさんに本日送付しました。近いうちに販売されると思います。800円です。よかったら買ってやってください。 (ただし限定150部外の余部なので記番はありません。申し訳ありませんがご了承くだ…

文フリ(6/12)速報(2)

今回の新刊は『青い彼方への旅』(ルートヴィヒ・ティーク)です。 かのロデリック・アッシャーの愛読書、ついにその驚異の全貌がここに! 『トリストラム・シャンディー』に心酔していたティークの、駄弁とポエジーの織りなす大迷宮をご堪能あれ。A5版138ペ…

マルセル・シュオブ『乱世綺譚集』通販開始!

* 今日古書肆マルドロールさんに本を送りましたので、来週には販売可能となっていると思います。 * 定価は800円。表紙・中身ともちょっといじってるので、通販分は初版ではなく初版微修正版です。でも部数は通算で150部にするつもり。各冊ナンバー入りでNo…

驚異のシュオブサイト

Z君に教えてもらった「マルセル・シュウォッブ拾遺」。特に博識な解説が圧巻です。 * 大修羅場中。ああ早く終えてですぺらで酒が飲みたい。 * 後ろで鳴っているのはリシャール・ピナス"Rhizoshere/Live, Paris 1982"。

表紙入稿!

* * マルセル・シュオブ『乱世綺譚集』 エディション・プヒプヒ(ビブリオテカ・プヒプヒ No.8) 限定150部記番 予価700円 11/9(日) 文学フリマにて初売。 * 青と白が基調のカラーはさりげなく南柯書局版全集のリスペクトであります。 *

持込厳禁の書

"Borges, Obras Resenas Y Traducciones Ineditas"という本は、いままで単行本化されていなかったボルヘスの短文を集めていて、その中にシュオブの翻訳が二篇入っている。(『架空の伝記』所収の「セプティマ」と「バーク・ヘアー両氏」) こんな断簡零墨ま…

矢野目訳は名訳である

矢野目源一訳『黄金仮面の王』をひさしぶりに読み返す。今回気づいたのは「である」の多用。はなはだしいときにはこんな文章が出てくる。 ……皆上甲板の欄干にもたれてこの新しい陸地を眺めながら、かれらの眼は怪しく震えたのである。 あらゆる国から、あら…

ビクトリア・オカンポのこと

Victoria Ocampo: Writer, Feminist, Woman of the World作者:Ocampo, Victoria,Steiner, Patricia OwenUniv of New Mexico PrAmazon 皆さんはビクトリア・オカンポをご存知だろうか。そう、ブエノス・アイレスで文芸誌「エル・スール」を創刊し、ボルヘスら…

顔のない死体後日談

歴史〈上〉 (ワイド版岩波文庫)作者:ヘロドトス岩波書店Amazon ヘロドトス『歴史』第二巻にあるエジプト王ランプシニトスと盗賊の物語は、乱歩によほど感銘を与えたのだろう。世界最古の「顔のない死体」トリックとして、『江戸川乱歩全集 第27巻 続・幻影城…

栄地四囲

パリ点描 (講談社学術文庫)作者:ジャネット フラナー講談社Amazon ジャネット・フラナー(1892-1978)は生涯のほとんどをパリですごしたアメリカ人の作家。『ニューヨーカー』誌のパリ在住特派員として、1925年から1939年にかけて文壇・画壇・劇壇その他もろ…

誰にも似ないように

シプリアン・ダナルクは他人と同じであることに我慢ならぬ男だった。いっとき美術に凝ったこともあった。いかなる流派にも属さぬ、誰も評価したことがない絵を愛した。だがそういう作品もいずれは人の知るところとなる。次にシプリアンは詩作に耽った。誰も…

仮面幻双曲

仮面幻双曲 (小学館ミステリー21)作者:大山 誠一郎小学館Amazon 1444年、英国王ヘンリー六世とフランス王シャルル七世はトゥールで休戦の協定を結び、百年以上前から延々と続いてきた英仏戦争もここで一息つくことになった。休戦にともない傭兵らは解散させ…

Come in Number 51,Your Time is Up

砂丘アーティスト:サントラ,ピンク・フロイド,カレイドスコープ,パティ・ペイジ,ヤング・ブラッズ,ロスコー・オルコムEMIミュージック・ジャパンAmazon 短篇集『黄金仮面の王』に入っている「オルフィラ52と53」は、老人専用の病院、作中の表現でいえば「生…

贋のマルセル

おそろしいことに、「マルセル・シュオブ著」としてウェブ古書店で売られている本の何冊かはマルセル・シュオブの作品ではない。こころみにAbebooksで検索してみると、 Librairie Reignierという古書店が、Marcel Schwobの"Profondeurs de l'Espagne"(スペイ…

驚異の翻訳

*グーグルによるシュオブの短篇"L'homme double"の自動翻訳。 * す、すごい迫力ですね。ですます調がいい味を出してます。どなたかの訳された『エブドメロス』や『狂気の愛』をちょっと連想させはしますが、こんな訳しかたは正気の人にはとうてい無理でし…

マルセル・シュオブ補完計画4 恐怖のグーグルの巻

* 目下ストリートビューで物議をかもしているグーグルだが、ほかにブック検索という嬉しいサービスもあって、これを使えばウェブを検索するのと同じ感覚で本の中身を検索できる。惜しむらくはすべての本が対象になっているわけではなく、版元から許可を受け…

マルセル・シュオブ補完計画3 タラフマラ書店の巻

アルトー後期集成 3作者:アントナン・アルトー発売日: 2007/06/20メディア: 単行本『架空の伝記』に収録されなかった架空伝記もの「デミウルゴスのモルフィエル」と最晩年の短篇「ユートピアの対話」を翻訳してみたいと思う。しかし語学力の貧しさはいかんと…

マルセル・シュオブ補完計画2 黙示録の獣の巻

DO WHAT THOU WILT P作者:Sutin, LawrenceSt. Martins Press-3PLAmazon 一部ではものすごく評価の高いアレスター・クロウリー。しかしいったいどこがいいのか、いまひとつよく分からない。それはともかく、そのクロウリーがパリに滞在中のおり、一夕彫刻家ロ…

モーリス・ルヴェル女性説について

本の山を崩しながら大和書房版『巌谷小波お伽文庫』を探していたら唐突にマーヴィン・ケイのアンソロジー"Devils & Demons"が出てきた。何を隠そう、この本こそが、6月5日の日記に書いたモーリス・ルヴェル女性説の元凶でなのである。そういうわけで、いのも…