虚無への供物
『游牧記』といえば、『虚無への供物』に出てくる氷沼紅司の書斎には、五冊揃いの『游牧記』が秘蔵されているそうだ。ヴァン・キュイは出てくる気配はなかったが、こういう青い薔薇級の珍品があらわれるのだからやはり氷沼邸は一味違う。最終号が一種の合併…
新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)作者:中井英夫講談社Amazon 「黒鳥忌に寄せて」というものの、黒鳥忌すなわち中井英夫の命日は十二月十日だったから、もう二週間くらいも過ぎてしまった。『虚無への供物』をはじめて読んだのは高校生のころ、講談社…
近くまで来たついでに古書いろどりに寄ったら、店主の彩古さんから、今日は「戦後70年 中井英夫 西荻窪の青春展」の初日であることを教えられた。おおそうであったか。すっかり忘れていた。その足で東京古書会館に回ると、二階でひっそり、いかにも中井英…
*中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)作者: 本多正一出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/06/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (15件) を見る* 昨日に引き続き帯の話。 『両シチリア連隊』の帯の惹句は…
今日は『虚無』のアンバースディ。 一仕事すんだので、明日は「ですぺら」に行ってひとり祝杯をあげる予定。(といってもむしろこれからが大変なのだけれど……)新生ですぺらのヴァン・キュイ(ホットワイン)は、酒としては大邪道かもしれないが、おどろくほ…
宇野亜喜良先生は亜利夫の〇〇〇〇が立っているとこまでちゃんと挿絵に描いていらっしゃるよ。蒼司のはなんか微妙な描きかただけど、やっぱり立ってるんじゃないかな。いやそれはともかく、このアドニス版「虚無」のミステリーとしての構想だが、今回発表さ…
「小説推理」といえば、業界のご意見番佐野洋が「推理日記」をたんたんと連載していたりする老舗ミステリ雑誌である(なぜか倉阪さんの『42.195』がひどくお気に入りのようで今月号でも槍玉にあげている)。しかしながら、来月号を開く読者は、そこにきっと…
これまでアンソロジーに収録された数編しか読んでいなかった拙豚にとって、この本は実質的な天城一初体験であったが―― 一読して腰を抜かした。これは断じて一部マニア向けの本などではない。日本ミステリ史の里程標となるべき作品集だ。実際、本書は二つの点…