2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

最後の姑

地獄 英国怪談中篇傑作集 (幽クラシックス)メディアファクトリーAmazon 「走って!帰ってきた!桜庭ほんぽっ!」。五人目の姑はあんまり知らない人だった。知っているのは国籍と性別くらい。この姑の本を読むことは一生ないんじゃないかな……というのもまずい…

あなたは読者で犯人

かくも水深き不在作者:竹本 健治新潮社Amazon 一人称で書かれたミステリで、犯人は「わたし」だったというものがある。クリスティの某作みたいな「記述者が犯人」とは違う。どこが違うかといえば、「わたし」自身も、自分が犯人であることを、探偵に指摘され…

パノプティコンの青い空

*空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)作者: 寮美千子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/28メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る* 快著『ドバラダ門』に書かれてあるように、ジャズピアニスト…

姑とロールキャベツ

東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)作者:石井 好子河出書房新社Amazon 先週の土曜は松山翁の講義の日だった。ねじの回転にも行きたかったが、惑星直列のごとく日が重なっては仕方がない。後髪を引かれる思いで消人栓を通り過ぎた。だがしかし…

姑の視点は天使

紀伊国屋書店の桜庭ほんぽっ! 「姑にしたくない女」の第二弾はヴァージニア・ウルフ。おお、なかなかに鋭い選択! 小説作法上の用語に「視点」というものがある。中島梓の『小説道場』でも口を酸っぱくして語られていたが、ことにミステリではこの問題はな…