Come in Number 51,Your Time is Up


短篇集『黄金仮面の王』に入っている「オルフィラ52と53」は、老人専用の病院、作中の表現でいえば「生者たちの共同墓地」に入院している老女二人が喧嘩する話だ。ここのリストによればまだ未訳らしい。

老婆の名はオルフィラ52とオルフィラ53という。なぜこんな変な名がついているかというと、この病院では患者は娑婆での名を剥奪されて部屋の名で呼ばれるからだ。そしてオルフィラというのは個室代金が払えぬ貧者が入る大部屋なのだった。

これを読んでゆくりなくも思い出したのは「砂丘」のサウンドトラックに収録されているピンク・フロイドの曲、「51号の幻想」("Come in Number 51,Your Time is Up")。シュオブの短篇と、そのBGMにぴったりの曲が51−52−53と連番になっているのは単なる偶然だろうか。