死の舞踏

 
ページを開くといきなり怪しい病院に一人きりにされる少女。およそ半世紀も前に楳図かずおや古賀新一が描いたところの妖怪病院のノリで快調に(怪調に?)はじまる。

中世期の「死の舞踏」に描かれた骸骨たちのように、遺伝・精神疾患・外科手術――こういったものが、昔日のペストに代わって、これでもかこれでもかとばかりに、貧しいものをも富んだものをも、等しなみに斃していく。狂気だって前世紀までにはあったはずの聖性を剥がされて、精神疾患と呼ぶしかないものになっている。科学というのはこんなにもネガティブなものだったのか。

物語はどれも唐突に終わる。文学性もヘッタクレもないかたちで、まるで現実の死のように無慈悲に。でも正調幽霊譚の雰囲気ではじまる物語が皮肉に終わる「大いなる謎」なんかはロアルド・ダールみたいでけして悪くはない。

パタパタ無力に倒れる人間たち――グラン・ギニョール(大きな人形)とはよくいったものだ。