洋書ペーパーバック大量入荷です!
ジャック・ケルアック、ヘンリー・ミラー、サミュエル・ベケット、サリンジャー、F・スコット・フィッツジェラルド、アナイス・ニンなど。表紙の雰囲気もお… https://t.co/zu85N4zAn5 pic.twitter.com/VXxE5fpFTs
古書ドリスさんのこんなツイートを見て矢も盾もたまらず森下まで行き、まだ紐で縛ったままなのを無理を言って見せてもらいました。
本に挟み込まれた紙片などから察するに、名古屋で英文学を講じておられたT氏の旧蔵書であったものらしいです。ほとんどは大御所作家の作品で、ミステリやSFは見事に一冊もなし。ただ子細に見ていくと面白いものもチラホラ混じっています。たとえばこんなの。
すなわち『ユリシーズ』のOdyssey Press版ペーパーバックであります。あと今回は買わなかったけれどロレンス・ダレル『黒い本』のOlympia Press版ダストジャケットつきもありました。興味ある方はいっぺん見に行ってはいかがでしょう。
あとこれは今回本を見せてもらってのなんとなくのカンなのですが、この方は本業の傍らエロティック文学のコレクションをしていた感じがします。『ユリシーズ』や『黒い本』のこれらの版は一種の地下出版で、普通の人がおいそれと手に入れられるようなものではないですから。
その意味で蔵書の残りがどこに流れたかが気になります。ディスプレイ業者でなければいいのですが。
これは『ユリシーズ』に栞代わりに挟まっていた葉書の一部です。「求めよ国債 銃後の力」とか言われてた世相に背を向けてひとり黙々と『ユリシーズ』を敵国言語で読んでいたというのがすばらしい。それも英米ではこの作品が公然とは出版できなかった時代に。(上に画像をのっけた『ユリシーズ』はハンブルクで出版されたものです)
なんだか植草甚一みたいではありませんか。これぞ読書人の鑑といえましょう。