横積み者の末路

SFのSは、ステキのS

SFのSは、ステキのS


以前『乙女の読書道』を一読して文章のうまさに仰天し、そのまま池澤ファンとなった。(こんな言い方をされては本人としては不本意だとは思うけれど)三代の蓄積を目の当たりに見る思いがする。
ということで、本書からありがたい教えを引用しましょう。

いいですか。けして。
本を横にして積んではならない。
本は横になった瞬間に死にます。これ、絶対。顔を横にして邦題を読む手間と、積みあがった本の山から抜き出す手間、この二つで一気に死蔵化まっしぐらです。


ところがせっかくの忠告を守らなかったため途方にくれる男が一人。その名は日夏耿之介。見よこのおそろしすぎるありさまを! 一気に死蔵化まっしぐら!





これではタイトルを読むとか本を抜き出すとかいう以前に、そもそも本まで手が届かない。空いたスペースが狭すぎて本の整理さえできないのではなかろうか。奥のほうにいる日夏の困り切った顔*1もさてこそとうなづける。ちなみにこの写真は井村君江日夏耿之介の世界』からとったものだが、これはすばらしい本だ。全集の編纂をなしとげた後(それだけでも偉業なのだが)、さらなる飛躍を求めてイギリスに留学といった井村さんのバイタリティにはまさに懦夫をして立たしめるものがある。

*1:ふだんからこういう顔だという説もある