2006-01-01から1年間の記事一覧

J・F・バーディン一気読み

悪魔に食われろ青尾蠅 (Shoeisha・mystery)作者: ジョン・フランクリンバーディン,John Franklin Bardin,浅羽莢子出版社/メーカー: 翔泳社発売日: 1999/10メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (13件) を見る風邪をひいてしまって二三日前か…

狼なんかこわくない

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/04/11メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 152回この商品を含むブログ (529件) を見るルパン対ホームズというか、明智対二十面相というか、このシリーズ…

七竈最終回

やられたっ! これは叙述トリック? いえいえそうではありません。むろん勝手に誤解したこちらが悪いのだが、このエンディングは、個人的には、ちょっと改蔵の最終回を思わせる衝撃だった。 その中でストーリーが発展していくかに見えた北海道の小都会は、実…

狛犬なかった……(´・ω・`)

わざわざ紀伊国屋まで探しに行ったのは日本広しといえど私くらいのものだろうと思う。くそう東京創元社のサイトさえ先に見ておれば…

神保町だより

今日はデス博士は一回休みにして神保町のはなし。例年この季節になると転居やら退職やらで蔵書を処分する人が結構でてくる。だからなるべく安くたくさん本を書いたいと思ってる人には千歳一遇、じゃなくて一歳一遇のチャンスなのである。ということで金欠に…

デス博士メモ(3) その他の物語

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/09/30メディア: 文庫購入: 40人 クリック: 509回この商品を含むブログ (401件) を見る 「デス博士の島その他の物語 (…

デス博士メモ(2) 二人称の問題

海を失った男 (晶文社ミステリ)作者: シオドア・スタージョン,若島正出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2003/07/11メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (51件) を見る 「二人称で登場人物に呼びかける語り手」という点で、「デス博士の島その…

デス博士メモ(1) なぜ感動するのか

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)作者: ジーンウルフ,Gene Wolfe,浅倉久志,柳下毅一郎,伊藤典夫出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2006/02/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 56回この商品を含むブログ (135件) を見る若島メモの真似をして、今…

ああ遅かりし〜

「デス博士の島その他の物語 (未来の文学)」トークショーの整理券をもらいに行ったら、もう申込が締め切られていた。つい一年ちょっとまえまでは、「SFだと却下される企画でも未来の文学と言っちゃえば大丈夫」とか囁かれてたのが嘘のような人気ぶりだ。そ…

千冊一冊物語

世界文学あらすじ大事典〈1〉あ~きょぅ作者: 横山茂雄,石堂藍出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2005/08/01メディア: 大型本 クリック: 8回この商品を含むブログ (7件) を見るやっと地元の図書館が入れてくれたのでぱらぱらめくってみた。ドイツではRomanf…

ブーザンゴ他

金曜日はブーザンゴを覗いてみた。よいお店です。古本の値段がリーズナブルなのが嬉しい。「ヴァニラの木」と「流れのままに」二冊で三千円ちょっと。ワインのハーフボトルを置いてくれたらもっと嬉しいかもしれない。 昨日は「かばん」関係の人がやっている…

ふと思い立って早稲田古書街に行く。江原書店は今日も閉まっていた。某店で澁澤龍彦の初版が函付きで500円。そこのご主人曰く、「澁澤は全然売れなくなっちゃった。昔は輝いていたんだけどね、もう誰も買う人がないんだ。ほら、文庫で全部出ちゃったでし。そ…

トインビー対オルテガ

オルテガ著作集 7 世界史の一解釈作者:オルテガ白水社Amazon 京王線の中吊り広告で池田大作と談笑するトインビーの写真を見た。――ああそう言えばそういう人もいたんだった。 トインビーは今ではほとんど忘れられた感のある歴史家だが、かつて――といってもそ…

『供述の心理学』

「どうして、そんな散文的なもんか」と法水は力を罩めて云い返した。「所で、法心理学者のシュテルンに、『供述の心理学(プショロギィ・デル・アウサーゲ)』と云う著述がある。所が、その中であのブレスラウ大学の先生が、予審判事に斯う云う警語を発してい…

愛蘭土星学(アイリッシュ・アストロノミー)

所が、意外にも、それが全然異なった形となって、伸子の心像の中に現われてしまったのだ。と云うのは、ラインハルトの『抒情詩の快不快の表出』と云う著述の中に、ハルピンの詩『愛蘭土星学(アイリッシュ・アストロノミー)』の事が記されてある。その中の一…

シャルコーの随想?

シャルコー神経学講義作者: クリストファー・G.ゲッツ,Christopher G. Goetz,加我牧子,鈴木文晴出版社/メーカー: 白揚社発売日: 1999/11/01メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る 「だが、例証がない事もないさ。シャルコーの随…

ピデリット『擬容と相貌学』

「或は、そうかも知れんがね」と法水は莨で函(ケース)の蓋を叩きながら、妙に含む所のあるような、それでいて、検事の説を真底から肯定するようにも思われる――異様な頷き方をしたが、「そうすると、さしずめ君には、ピデリットの『擬容と相貌学(ミミック・ウ…

なんか増えてるし

七冊のまま全然売れていないと二十日の日記で嘆いた池袋ジュンク堂の『最後の審判の巨匠』。今日サイトを見たらなんと一冊増えて八冊になっていた。これは一体どういうことであるのか。 1) 「この本は売れそうだ」と思ったジュンク堂の人がもう一冊余分に仕…

きょうも元気だ阿片がうまい

ウィルキー・コリンズ傑作選〈Vol.6〉アーマデイル(上)作者:ウィルキー コリンズ臨川書店Amazon 神保町で第三某氏とすれ違う。その店では「ヴァールブルク著作集4」とか「魔王の足跡」が新刊で並んでいた。東京堂書店ふくろう店の特価本コーナーではウィル…

独身者の機械

雪が止まない。今日はAin Soph/KBBのライブに行くべきか、ですぺらに行くべきか、それとも家でおとなしくしてるべきだろうか。どんがらがん (奇想コレクション)作者:アヴラム・デイヴィッドスン河出書房新社Amazon 「どんがらがん」収録短篇のなかでは、…

売れ行きなど

Amazonの『最後の審判の巨匠』、ずっと「3点在庫あり」だったのが今日見たら「2点在庫あり」になっていた。165たんが買ってくれたのかも。どうもありがとう。 池袋ジュンク堂では在庫7冊。先月24日に見たときも7冊だったから全然売れてないことになる。ああ…

オクターヴ・ミルボー自動車に乗る

また洋古書店に珍しいものがポツポツ出るようになった。どなたか蔵書家が手放されたのだろうか。それとも旧北沢の残滓なのか。 下の画像に写っている白い本は、一見ボナールのスケッチ集にしか見えないが、よく見ると下のほうに小さく"From Octave Mirbeau's…

十世紀のダルシマー

昨日に続いて、黒死館の下記の部分を巡る話。 「所でペンクライク(十四世紀英蘭の言語学者)が編纂した『ツルバール史詩集成』の中に、ゲルベルトに関する妖異譚が載っている。勿論当時のサラセン嫌悪の風潮で、ゲルベルトをまるで妖術師扱いにしているのだ…

ストーンズの伝記

まったく関係ないが、(いや、一応音楽つながりではあるが)現代思潮新社からストーンズの伝記が出るらしい。あの、かっては黒難解本専門だった現代思潮社がシンコーミュージックみたいな本を出すとは! 彼は昔の彼ならず〜。しかしその値段では売れなかろう…

キィゼヴェッテル『古代楽器史』(?) 

昨日に続いて音楽繋がりで黒死館蔵書の話題を。ただこれも今のところ調査中のメモ。 所が、キィゼヴェッテルの『古代楽器史』を見ると、月琴(タムブル)は腸線楽器だが、平琴(ダルシメル)の十世紀時代のものになると、腸線の代りに金属線が張られていて、そ…

キルヒャーの呪縛を逃れて

ドイツ・バロック器楽論―1650~1750年頃のドイツ音楽理論における器楽のタイポロジー作者: 佐藤望出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2005/12/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見るニューグローブ世界音楽大事典で「…

イシス探求 

ノヴァーリス作品集〈第1巻〉サイスの弟子たち・断章 (ちくま文庫)作者: ノヴァーリス,Novalis,今泉文子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (12件) を見る エジプトのサイス(ドイツ語読みだとザイ…

少女七竈 第四回

せかいの外から大人がやってきた。そしてせかいの外に行こうといざなう。七竈も動揺している。 計算された人物の出し入れは小説というより戯曲の作法である。 戯曲といえば、この作品のセリフ回しは素晴らしい。こういうかけがえのない作品をリアルタイムで…

ネゲライン『北欧伝説学』(?)

「黒死館逍遥」第二巻の発刊記念に、久しぶりに黒死館蔵書シリーズ。といっても今回は調査途上のメモ程度にすぎないけれど。 「そうだ熊城君、事実それは伝説に違いないのだ。ネゲラインの『北欧伝説学』の中に、その昔漂浪楽人が唱い歩いたとか云う、ゼッキ…

「八本脚の蝶」発刊に寄せて 

二階堂奥歯さんの「八本脚の蝶」がいよいよ書籍化されて本屋に並ぶそうだ。幻妖ブックブログの東雅夫氏の言によると「縦書きの活字で組まれると、サイトで目にしたときよりも格段に凄味が増す」らしい。鶴首して待ちたい。思考を忠実にトレースしていくあの…