2006-01-01から1年間の記事一覧

レム追悼本

地下室の手記 (新潮文庫)作者:ドストエフスキー新潮社Amazon SFマガジンの特集でこれまでの既訳作品も判明したので、だいたいの目次構成が固まりました。ポーランド語は一字も読めないのでもちろん全部重訳(最後のインタビューだけ例外)。 *「『薔薇の名…

縞に関する疑問 (Question de la Strie)

村山槐多耽美怪奇全集―伝奇ノ匣〈4〉 (学研M文庫)作者:村山 槐多学研プラスAmazon 疑問といっても別に縞パンツは縦縞であるべきかそれとも横縞かといったようなことではない。だいいち縦縞パンツなど想像することさえできないという御仁もおられよう。そうで…

七竈なかったあった

うつし世の乱歩 父・江戸川乱歩の憶い出作者:平井 隆太郎発売日: 2006/06/16メディア: 単行本 今日は七竈の発売日のはずだがどこの書店にもない。おかしい、もうエイプリルフールから何か月もたっているのに。三省堂本店の検索機械で調べてみようとしたら、…

赤い鳥の囀り

戦後創成期ミステリ日記作者:紀田 順一郎松籟社Amazon ミステリマガジン今月号に有栖川有栖氏が「赤い鳥の囀り」と題するエッセイを寄稿している。「容疑者Xの献身」を巡る論議の一環をなすもので、そのなかで有栖川氏は、二階堂黎人の「容疑者X」論には納…

闇の復権その他

プラド美術館の三時間 (ちくま学芸文庫)作者:エウヘーニオ ドールス筑摩書房Amazon ヘンリー・ジェイムズ怪談集成がTartarus Pressから出た。300部限定。こんどエディション・プヒプヒから出す本は200部限定だから悔しいことに100部ほど負けている。しかし30…

浅暮マジック健在なり

ペートリ・ハイル!―あるいは妻を騙して釣りに行く方法作者:浅暮 三文牧野出版Amazon 釣りエッセイだとて侮るなかれ。浅暮マジック健在なり。しかしその魅力をどう説明すればいいのか。まず枠が導入される。新婚旅行の前に作者は奥方に約束する。「結婚後は年…

いまどきの魔術 〜Recent Sorceries〜

猫路地日本出版社Amazon 「かねて猫好きで知られる作家の皆さんに、既成の辞書には存在しない架空の猫熟語を自由に思い浮かべていただき、それにちなんだ短い物語を書き下ろしてもらったら如何だろう」(本書解説より)――これだけの縛りをもとに集まった作品…

その後の状況

校正大変なり/Thomas Hardy "The Dynast"原文見つからん/あとがきめんどくさし/背表紙も作らんとならんがな/見返しに下の絵を入れたいが、入れると原価がまた増える〜/今日はもう寝よう

表紙ができました

某同人出版計画の表紙ができました。あまりにも赤裸々なパクリ(というかコピペ)です。元ネタの分かる方もさぞ多いことでしょう(東京泰文社があったころは一冊200円くらいでころがっていました)。はてさて、週明け入稿なるか?

可愛いふりだのえるは幾つぢゃ

某同人出版計画がいよいよ大詰めに。なんとか来週中には緑陽社に入稿したい。さもないと海は牡蠣でいっぱいに、じゃなくて肝心のコミケ本にとりかかれん。ということで校正スタッフの皆さんよろしくです。 下の画像はその版下を仮刷りしたもの。今回はフラン…

噂のY・N

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/sf/1143638557/386n-よく分からないながら長門有希じゃないかとも思う。違うかな? 「のたいゆみお」よりは可能性があるような気もするけれど。

L氏・言葉遊び・翻訳

L氏の言葉遊び癖のはげしさは、泰平ヨンものや、「ロボット物語 (ハヤカワ文庫SF)」や、なかんずく「宇宙創世記ロボットの旅 (ハヤカワ文庫 SF 203)」の読者には周知のことであろう。下に書影をアップした本は、そういったL氏の言葉遊びがいかに翻訳に反映さ…

倉阪論メモ(1)

汝らその総ての悪を作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (14件) を見る ページの上の文字は本来は死んでいる。 論より証拠、外国人の目で、あるいは幼児の目で眺めてみるとよ…

アマゾン順位の謎

Amazon.co.jpのランキングは何で決まるのだろう。かなり古い本や、すでに品切・絶版になった本にも順位があるから、一定期間(直近一か月とか半月)に売れた冊数ではないようだ。かといって過去に売れた総冊数でもなさそう(新刊書が有利そうに見えるから)…

タルホマニア拾遺録(5) 十六歳の三島、足穂を読む

三島由紀夫 十代書簡集 (新潮文庫)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る 何を血迷ったか、「三島由紀夫 十代書簡集」なるものをぱらぱらめくってたら足穂が出てきた。 稲垣足穂の「山風…

L氏とマイクル・カンデル

キャプテン・ジャック・ゾディアック (ハヤカワ文庫SF)作者: マイクルカンデル,Michael Kandel,大森望出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1994/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る クヴァルバー・メルクールをぱらぱらめくっていたら、ロッテ…

水溜りの影

Der Cthulhu-Mythos 1917 - 1975出版社/メーカー: Festa Verlag発売日: 2003/05メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見る ドイツのFrank-Festa Verlagといえばクトゥルーものを始めとして、渋いものから軽いものまで幻想怪奇系の本をたくさ…

蝋人形館にあるのは人形ばかりとは限らない

ドイツ幻想小説傑作集 (白水Uブックス (72))作者: 種村季弘出版社/メーカー: 白水社発売日: 1985/09メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見る グスタフ・マイリンク「蝋人形館」は、種村季弘が上の本に収録しているが、やがていつの日…

ヴェニスでの死に方

破局 (異色作家短篇集)作者:ダフネ・デュ モーリア早川書房Amazon 先頃、推理作家協会で須永朝彦氏が「探偵小説と同性愛」とテーマで話をされた。多くの作品がとりあげられたが、なかでも氏の賞賛が印象的だったのが、この「破局」に収録されている「美少年…

レム、「O嬢の物語」を語る

O嬢の物語 (河出文庫 レ 1-1)作者:ポーリーヌ・レアージュ,澁澤 龍彦河出書房新社Amazon 理論的な話がえんえん続いたかと思うと、突如SF作家総まくり罵倒大会がはじまる「SFと未来学」も不思議な本だったが、「偶然の哲学」も当方の知識不足および語学力不足…

フィレンツェへ逃れる同性愛者たち

フィレンツェ 繊細にして悩ましき街 (Writer & Cityシリーズ)作者:デイヴィッド レーヴィットDHCAmazon イタリアつながりでもう一冊。わずか180ページの瀟洒な本だが、中身は外見とウラハラにどろどろに濃い。こういうのは先入感なしに読んだほうが確実に楽…

つらつらとよしなしごとを書いてみる

青縁眼鏡さん入稿おめでとうございます。でもものは何なんだろう? もしかしたらこれですか? プロジェクトLのために「薔薇の名前」を掘り出す。解説を読むと「削除された六日目の手記」とか書いてあってちょっと驚く。アメリカの七夜みたい…… 突然の雷雨の…

プロジェクトL

またコミケの季節がやってきた。今月末には当落が分る。もし受かってスペースが取れたならば、今回は、先頃逝去した某巨匠*1を追悼するため、評論集を一冊編もうと思う。名づけてプロジェクトL。 今のところ(もし既訳がなければ)ぜひ入れたいのは、 「薔薇…

ROMの心地よさ

ROMの最新号は須川毅猊下入魂の編集による、マイケル・イネス未訳作品特集である。下の画像ではつぶれて読めないかもしれないが、サブタイトルには"The Bizarre World of Michael Innes"とある。本書のレビューを読む限りでは、このBizarreというのは実に適…

タルホマニア拾遺録(4) 親殺しのパラドックスの巻

マイナス・ゼロ (集英社文庫 141-A)作者:広瀬 正集英社Amazon タイムマシンで未来(あるいは過去)へ行った先で出会った人が、実は自分自身の将来(あるいは過去)の姿であった。これはタイムトラベルもののSFでよくある筋だが、タルホ作品にも、これと似た…

タルホマニア拾遺録(3) マキノ・ツバキ・タルホ聖三角形の巻

牧野信一全集〈第3巻〉大正15年9月~昭和5年5月作者: 牧野信一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2002/05メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る 筑摩の全集に入っているタルホ作品のなかで、一篇だけ尻切れとんぼ(未完)のまま収…

タルホマニア拾遺録(2) 栴檀は双葉より爆発の巻

牧野信一全集〈第6巻〉昭和10年4月~昭和11年7月作者: 牧野信一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/05メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 昭和十三年、困窮の極にあったタルホに突然Saintの啓示がやってくる。 石鹸を使う…

タルホマニア拾遺録(番外・ツンデレの巻)

「別冊新評 稲垣足穂の世界」が見たくなり神保町に行く。羊頭書店で見つけたがパッキングされてて中は覗けず。やむなく買う。思ったより高くはない。 ついでに局所的に有名なツンデレさんのいる珈琲店に寄ってみた。今日は別にツンでもデレでもなかった。

腐女子漫画経験値

http://blog.livedoor.jp/moepre/archives/50084604.html◎(購入したことがある) 20 ○(読んだことがある) 9 △(代表作と絵柄がパッと浮かぶが未読) 26 ×(知らん) 45 でした。日暮れて道遠し。 安野モヨコ・青山剛昌・井上雄彦・榎本ナリコ・尾田栄一郎…

吉行理恵さん逝去

情報元:IDIOT 2006http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060507AT1G0701C07052006.html一般には「小さな貴婦人」が有名なのだろうが、短編集「井戸の星」を読んだときの衝撃は今に忘れられない。これ以上怖く、そして後味の悪いホラーはあるのだろうか。