一度ならず二度までも

 
SFファン交流会のアンケートには「二度と訳したくありません」と書いてしまったキャベル。実はそのあともう一度訳しているのを思い出しました。『ナイトランド・クォータリー vol.20 バベルの図書館』に載せてもらった「デミウルゴスについて」がそれです。

これは『マニュエル伝』の第一巻に相当する『生の彼方へ (Beyond Life) 』の一章を抜粋したものです。この『生の彼方へ』は小説ではなく、対話の形を借りてキャベルが自分の文学観を思うさま開陳したものです。リアリズム排撃、ロマンス重視の熱弁がとうとうとふるわれて一読の価値があります。

キャベル以外にもこの『ナイトランド・クォータリー 』第二十巻にはゾラン・ジヴコヴィッチ、ジーン・ウルフ、M・ジョン・ハリスン、フランク・オーウェンとすごい名前がぎゅうぎゅうに詰まっています。ちと値ははりますが幻想文学愛好家なら手元に備えるべき一冊でありましょう。

おうそうそう、高山宏ロングインタビューもこの号には載っていました。すでにして永久保存版ですね。