中井愛の美学

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)


昨日に引き続き帯の話。
『両シチリア連隊』の帯の惹句は最終的には一番上の画像のようになったのですけれど、その初期ヴァージョンでは次の二行が入っていました。

> オーストリアの『虚無への供物』ともいうべき
> 反ミステリの金字塔、遂に邦訳なる!

この案を提示された拙豚はウッとうめいて、編集担当の方に次のようなメールを打ちました。

オーストリアの『虚無への供物』ともいうべき」の一行は、中井ファンから石が飛んできそうな気もするので削ったほうがいいような気がします。

そうしたら、「(前略)確かに中井ファンは怖いので(後略)」みたいな返事が来たので、そうか、中井ファンは怖いということは全集を出したTS社でも認識されているのか、といささか感じ入ったものであります。

それでここからが本題なんですが、『両シチリア』解説のおしまいのほうに、取りようによっては中井英夫を揶揄しているかとも受け取れる一文があります。でも全国の中井ファンの皆様、けして石を投げないでください。拙豚は稲垣足穂小栗虫太郎の次くらいに中井英夫を熱愛しているのですよ。論より証拠、上に書影のある「中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)」で拙豚はわが「中井愛の美学」を中井英夫作品案内という形で縷々綴っておりまする。怒りたくなった人はどうぞ怒る前にそちらをお読みくださいますよう。