科学小説は噴飯に限る


注文が殺到しすぎて版元がテンテコマイという噂の「噴飯文庫 戦前『科学画報』小説傑作選 第一号」
これは凄い。どんなに凄いかというと、たとえばこんなページがある。



まさに食べかけたご飯を噴くようなタイトル(とイラスト)だけれども、作者に「このタイトルで笑いを取ってやろう」という意識は微塵もなかったことは断言してもいい。
むしろこういう噴飯性は科学雑誌に載る小説としては正統なのではないか。拙豚が子供の頃読んでた「子供の科学」(誠文堂新光社)にもこういう噴飯物の小説が載っていたし、科学小説の父海野十三*1のテイストともけして無縁ではない。あと早川書房の世界SF全集の中の「日本のSF 古典編」の最初の方に収録されている作品もこんな感じですね。水で薄めた葡萄酒の中に胎児を漬ける話とか。

それにしても巻末で対談をしている二人の薀蓄は、濃すぎて恐怖すら覚える。何者なんだこの人たち……

*1:本書では佐野昌一名義で登場