ドゥルーズ/ホレーニア


ミニスたん、『両シチリア連隊』の真摯な感想をどうもありがとう! 深く読み込んでくれて嬉しいよ。宇野邦一の引用の件も覚えててくれてて感謝。宇野氏はおそらくジル・ドゥルーズ経由でレルネット=ホレーニアを読んだのだと思います。
ドゥルーズは絶筆となった「内在──ひとつの生……」*1という論文で、レルネット=ホレーニアならびにミニスたんの指摘する「はざまの世界」について触れているのです。この論文の英訳はウェブで読めるのですが、その29ページには「軍隊全体を飲み込みかねない〈はざまの時間〉」が何とかかんとかと書いてあります*2
ドゥルーズが触れている件は解説でちょっと言及したい誘惑にかられたけれど、文章が難解で結局何を言ってるかわからなかったし、ドゥルーズの名で権威付けするのもみっともないので結局やめました。

そもそもあれこれ理屈をこねなくとも十分楽しく読める小説なのでなにとぞよろしく。たとえば「ボルヘスも称揚!」と宣伝すると確かに売れ行きに貢献するでしょうが、「ドゥルーズも注目!」と宣伝したら、売れ行きにネガティブな効果がありそうでちょっと怖い。すくなくとも拙豚は、本の帯に「ドゥルーズも注目!」と書いてあったら、その本はあんまり読みたいとは思わないです(笑)。

*1:邦訳は『狂人の二つの体制 1983-1995』(小沢秋広訳、河出書房新社、2004)という本に収録されているらしいが未見

*2:【9/24追記】その後小沢秋広氏の訳も参照しました。小沢氏の訳によれば「レルネット=ホレーニアの小説作品は、諸連隊をまるまるのみこんでしまいうるひとつの間-時間の中にできごとをおいている」(『狂人の二つの体制 1983-1995』pp.298-299)