腰を抜かした

 某氏の奥方推奨のジュリアン・グリーン『幻を追う人』を読む。タイトルは直訳すると「幻視者」。ネルヴァルみたいで期待させるではないか。

 でも実際に読んでみると重苦しい人間関係のなかで陰々滅々としたストーリーが展開する。「あのねおっさん、わしゃかなわんよ」と思いながらページをめくっていったのだけど、章が変わったところでいきなりものすごい場面が出現した! 不意打ち食らって腰を抜かした。この作品はなんでも福永武彦鍾愛の書だそうだが、さすがに福永あなどりがたし。