2008-01-01から1年間の記事一覧

L.P.ハートリーの耽美な生活(1)

ポドロ島 (KAWADE MYSTERY)作者:レズリー・ポールズ ハートリー河出書房新社Amazon すでに相当むかしの話になるが、ロバート・エイクマンの本邦初短編集が今本渉氏の手により翻訳されたのは、この手の小説の愛好者にとっては稀に見る幸運ではなかったかと思…

ゾナ・ゲイルのこと(2)

Romance Island作者:Gale, Zona1st World Library - Literary SocietyAmazon ゾナ・ゲイルの伝記は、同郷の後輩オーガスト・ダーレス(後のデルレット伯爵)の手によって一冊の本になっている("Still Small Voice" 1940)……はずなのだが、そして確かに持っ…

ゾナ・ゲイル(1)

ざくろの実―アメリカ女流作家怪奇小説選作者:イーデス ウォートン鳥影社Amazon アメリカの女性作家たちの怪談集である。メアリ・ウィルキンス・フリーマン、ウィラ・キャザー、エレン・グラスゴー、イーディス・ウォートンと目次に居並ぶ淑女たちの名を見て…

どんな鞄?(5):末期のSF

歌うダイアモンド (晶文社ミステリ)作者:ヘレン マクロイ晶文社Amazon 『氷』はおそらくアンナ・カヴァンがはじめて書いたSFらしいSFである。世界が氷で覆われていく現象には疑似科学的な説明が与えられているし、混乱に乗じて「長官」が独裁国を作るといっ…

どんな鞄?(4):症例それとも伝説

氷作者:アンナ・カヴァンバジリコAmazon フランシス・キングによれば、カヴァンは「何かの老年病」で亡くなったという。そこでカヴァンの二冊の伝記のうち最初に出たほうを覗くと、検死の際の診断は"fatty myocardial degeneration (脂肪性心筋衰弱?)"だ…

クラシック・ミステリのススメ再版

池袋ジュンク堂3Fに堂々入荷!。初版と同じくシュリンクパック仕様ですので、きれいな本がほしいという方はこちらに。 * 地方の方はbk1でも買えるはずです。

どんな鞄? (番外:ユッキーご乱行の巻)

Yesterday Came Suddenly (Biography & Memoirs)作者:King, FrancisConstableAmazon フランシス・キングの回想録"Yesterday came suddenly"(1993)の発掘に成功。横島昇氏(郡虎彦の英文戯曲集を翻訳された方)の流麗な訳文による『家畜』が最近出たこの特異…

どんな鞄?(3)

Sleep Has His House (Peter Owen Modern Classic)作者:Kavan, AnnaPeter Owen PublishersAmazon 「長篇 『氷』 (67) は各方面から絶賛されるが、翌年に急死。ベッドの傍らにはヘロインの注射器が置かれていたという」みたいな作者紹介文を見て浮かび上が…

どんな鞄?(2)

氷作者:アンナ・カヴァンバジリコAmazon 『氷』のヴァリアント『マーキュリー』冒頭の引用句は、『恋の骨折り損』の最後のせりふからとられている――「アポロの歌のあとでは、マーキュリーの言葉も耳ざわりでしょう」(小田島雄志訳)。ここでマーキュリーと…

整理券その他

『クラシック・ミステリのススメpart1』は、書肆アラビクにも再入荷しているようです。しかしブログの画像から判断するに、これはたぶん初版…… * 整理券をもらいに紀伊国屋に行ったら、本そのものがあと2冊しか残っていなかった。あぶないあぶない。

『クラシック・ミステリのススメPart1』が増刷されました。

* bk1でただいま販売中。初版との相違は誤植の訂正とかをのぞくと次の3点です。 * 1. 『クラシック・ミステリのススメPart1』初版では、組版上の手違いにより、村上貴史氏によるクイーン『青の殺人』(再版p.97)のレビューが脱落しておりました。これ…

どんな鞄?(1)

Mercury作者:Kavan, Anna,Lessing, Doris MayPeter Owen LtdAmazon 『消え去ったアルベルチーヌ』と同じく、『氷』もヴァリアントが作者の死後に刊行された。すなわち1994年にPeter Owenから出た『マーキュリー(Mercury)』である。しかし不親切なことにド…

『増補・日本幻想作家名鑑』を応援する

国書刊行会から2008年5月刊行予定の(でもたぶん2009年の間違い)『増補・日本幻想作家名鑑』。対象は近代文学だけだと思ってたら、編纂作業は江戸時代に突入した模様。すごいすごい。これからどこまで時をさかのぼっていくのだろう。 ボルヘスによれば文学…

...me semblait (moins) lointain...

消え去ったアルベルチーヌ (光文社古典新訳文庫)作者: プルースト,高遠弘美出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/05/13メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 26回この商品を含むブログ (18件) を見る* 周知のように、『豊饒の海』最終巻「天人五衰」は、いま…

FANTAST

* 高山直之さん主宰の同人誌ファンタストの第34号がちかぢか刊行されるそうだ。今回の特集はモダニズムで、りきまるパパが全誌面の2/3を書いているという噂も。それから佐藤弓生さんも参加しているらしい。 * しかし、ここだけの話だけれども、そういった…

お堀の桜

きのうのですぺらは大入り満員で、あやうく立ち飲みになるところだった。何であんなに小部数しか納入しないのかと怒られた。まさかですぺらで怒られるとは。しかも、きのうのきょうの話なのに、なぜそんなにマッハの速さで伝わりますか? 地獄耳情報網おそろ…

池袋ジュンク堂に納入

* 「クラシック・ミステリのススメ」、池袋ジュンク堂に置いてあります。三階の下りエレベーターのそば、新刊書コーナーの海外文学のところの窓際。日に焼けたりせんことを祈るよ。 ウルトラ小部数なのでお早めに〜〜。シュリンクパック仕様なので美本にこ…

W.W.W.展その他

* 「渡辺啓助、渡辺温、渡辺済・「新青年」とモダニストの影(――長すぎた男・短すぎた男・知りすぎた男―― )」と題するW.W.W.展が2008年5月17日(土)から31日(土)までギャラリー・オキュルス(地図はこちら)にて開催されます。会場で配られるはずの小冊…

三省堂4階に入荷

* 「クラシック・ミステリのススメ」、三省堂神保町店の4階、地方小出版コーナーで販売中です。4階まで上がってくれる人が何人いるか分かりませんので、1階のミステリ売り場にあるそうです。コメント欄参照。とりあえず10冊置いてあります。bk1でも販…

○百部幸せ説の誤算

* クラシック・ミステリのススメはbk1に近いうちに再入荷とのこと。しかし、「手当てがついたので」というような表現のニュアンスからワトソン的に推理すると、そろそろ在庫払底が近いような気も。『幻影城の時代』のときみたいに殺意を覚える人が出なけれ…

クラシック・ミステリのススメ発売再開

* さすがに今度は少なくとも4月中は在庫が切れないんじゃないでしょうか。まったく根拠のないワトソン的推測ですが。 この本を指針に国書の本などを買いまくって、ゴールデンウィークを古典ミステリ三昧で過ごすのもまた乙りきなもんだとおもいます。 * …

クラシック・ミステリのススメ

ふたたび購入可能に。こんどはせめて24時間はもってほしい。 * SFファンには周知のことなのだろうが、ヨン様日記のDVDが出ているのをいま発見。おもわず注文してしまったよ。なんかスター・トレックみたいになってそうで、いやな予感はするのだが。 * 20:3…

いろいろ

クラシック・ミステリのススメ、もうbk1で買えるようです*1。きのうはですぺらで魔の三角地帯を巡って談論風発。水飴みたいなウィスキーを勧められた。拙豚が飲むのを見て店主うれしそうに、「飲んでる飲んでる。こんなウィスキー平気で飲むなんてよほど…

暗渠礼讃

[新刊] 川の地図辞典 江戸・東京/23区編 [フィールド・スタディ文庫1]作者:菅原健二之潮Amazon 足もとを見ればそこに太陽がある Je regarde sous mes pieds pour y trouver le soleil. と呟いた異国の人は誰だったろう。江戸城の堀端をぶらつく駐在大使ポー…

15歳とかパパイラスの舟とか

アリスの人生学校作者:ピエール マッコルラン学研プラスAmazon パリのラ・ミュザルディヌといえば、毎月おびただしい量のエロ本を精力的に刊行している、フランス書院と富士見ロマン文庫が合体したみたいな版元だ。その出版物のなかにジャン=ジャック・ポー…

クラシック・ミステリといえば、

本名でサイト運営していた頃の〇・蔵〇さんが、熱心に国書探偵小説全集の第一期を読んでいたのを知る人は今では少ないのではないか。レビューの一部分はまだかろうじて残っているので、本人はいやがるだろうが、ご参考までにいくつかリンク: 『薔薇荘にて』…

出足好調「クラシック・ミステリのススメ」

* 「クラシック・ミステリのススメ」はきのう一日で80数冊を売り上げたそうだ。すごいすごい。拙豚もきのうから熱中して読んでます。自分が組版しといて言うのもなんだが、いやあこれはいい本ですよ。 Part2はレビュアーを大幅増員するそうだ。乞ご期待。 …

『クラシック・ミステリのススメ』完成!

まだ現物は見てませんが、画像を見るかぎりでは、一応本の形はしてるみたいなのでまず一安心。 例によってギリギリになるまで手をつけなかったので、あとからいろいろ反省点が出てきます。 背表紙に『クラシック・ミステリのススメ』とだけ入れて、『(上巻…

北溟綺譚

しばらく逐電していた狐氏が変名でmixiに舞い戻り日記を再開したそうな。何を書いているのやら。おそろしいことではある。

MYSCONアンケート

何も考えずに答えを書いて送った。 Q1.「凶器」と言えば? A1.マンドリン Q2.ミステリの「名台詞」と言えば? A2.「愛ある限り戦いましょう」(byメルカトル鮎) Q3.ミステリに登場する「館」と言えば? A3.イヤンバ館 たぶんあまり企画の役には立たないと…