いよいよ今週末に迫る『聖ペテロの雪』発売。なにとぞよろしくお願いいたします。今回は〈ペルッツ・コレクション〉全四巻完結祝賀ということで、『教皇ヒュアキントス』や『動きの悪魔』の驥尾に付し椀飯振舞豪華絢爛(本当かな?)プレゼントが予定されています。詳細はもうすぐ国書刊行会のツイッター等にて公表されるはず。
話は変わりますが都筑道夫の『推理作家の出来るまで』の中にこんなエピソードがのっています。当時都筑氏は早川書房でハヤカワ・ミステリやEQMMの編集をしていました。
東大英文の偉い先生に、翻訳をお願いしたら、会話の一部の"Yes, Yes, and Yes"というのを、「そうだ。そうだ。そして、そうだ」と訳してきた。これには困って、無断でなおすわけにはいかないから、ほかにも問題点はあったので、「直していただけませんか」とおそるおそる申しあげたところ、にべもなく断られてしまった。「私にはこれ以上、訳せません。気に入らなければ、勝手になおしてください」
しばらくのあいだ、早川書房では、肯定の返事をするときに、「そうだ。そうだ。そして、そうだ」というのが、はやったものであった。
これが人の翻訳ならただ笑っていればいいのですが、自分にこれ以上の訳ができるかと言われればやはりなかなか難しいと答えざるをえません。
せめてもの救いは「そして、」がないのでその分滑稽感をまぬかれていることでしょうか。それから「!」の勢いのせいで不自然さがごまかされているのもポイントかも。
「だめだだめだだめだ」と一息に言う手もあるけれど読みづらいしなんだかマンガっぽく響くような気がします。でもまあそんなことはどうでもいいからともかく『聖ペテロの雪』をよろしく!