ダクダクとは何の謂ぞ

漏れ聞く噂によれば、あと十日たらずに迫った冬の祭典で、面妖な本が新刊で出るらしい。しかもわがスペースのすぐ隣で。「ダクダク」? そんなの黒死館にあったっけ? と思って調べてみたら本当にあった! 恐るべし黒死館マニア!

……それから彼は、片眼鏡でも欲しそうな鑑賞的な態度になって、物奇しそうな視線を立ち並ぶ古代時計に馳せ始めた。
 それには、カルデアのロッサス日時計やビスマーク島ダクダク講社の棕櫚糸時計。水時計の類には、まず、トレミー朝歴代の埃及王やオシリス・マアアト等の諸神、それにセバウ・ナアウの蛇鬼神までも両枠に彫り込んである――クテシビウス型を始めに、五世紀鄯善族の椀形刻計儀に至るまでの、十数種があった。それから、ホーヘンシュタウフェン家の祖フレデリック・フォン・ビュレンの紋章が刻まれている、稀らしいディアボロ形の砂漏などが注目されたけれども、油時計や火縄時計のように中世西班牙で跡を絶ったものには、……

ビスマーク島って何だろう。あの鉄血宰相と関係あるのかな。それから「講社」とはこれいかに。まさか講談社とは関係はないと思うが……。

それはともかく、「ダクダク」創刊号の特集は「矢毒」! なんとなく、かの南原四郎さんがやっていた「月光」とか「LHS」みたいな特集ではないか。刊行者の趣味がしのばれる……。ともあれ、鶴首して待とうではないか!