ショートショート・カーニヴァル


 

新紀元社から牧原勝志氏編纂による『幻想と怪奇 ショートショート・カーニヴァル』をいただいた。どうもありがとうございます。

一読して驚くのはオリジナル・アンソロジーとしては尋常でない質の高さだ。ベテラン勢が健在を見せつけるいっぽう、中堅や若手も盛んに気を吐いている。このテンションの高さの背後には『幻想と怪奇』という雑誌へのリスペクトがあるのは間違いない。『幻想と怪奇』からお呼びがかかったからにはあだやおろそかなものは書けない! という熱気が紙面を通して伝わってくるようである。

しかしもっと驚いたのはショートショート・コンテストの入選作だ。これにはほんとうにでんぐりがえった! 新人らしからぬ完成度である。なかんずく最優秀作、西聖氏の「無色の幽霊」には「世の中にはとんでもない才能が隠れているものだなあ」と感じ入った。