倉阪鬼一郎『42.195 すべては始めから不可能だった』

「読者参加型」のマラソン・ミステリー。給水ポイントでヒントをもらいつつ、二つのマラソン競技が行われる作中の全42.195章を読者が共に走りつつ真犯人を推理するという趣向です。途中三箇所に給水ポイントが設けられていて、作者が登場し、謎解きのヒントを読者に授けます。(「読者への挑戦」の変形)

誘拐もののサスペンスとスポーツのサスペンスはうまくシンクロすると絶妙な効果を発揮しますね。誘拐+スポーツという組み合わせは岡嶋二人をはじめとしていくつも作例があるけれども、この作品にも負けず劣らず手に汗握りました。

しかし、給水ポイントでヒントを出しすぎのような気が…。拙豚は20キロを越えたあたりで仮説が閃いて、10キロ地点の給水ポイントをもう一度読み、冒頭に戻って何キロか再走した結果真相を確信したなり。ミステリを読み慣れた人ならもっと早くわかるかもしれない。


メモ1:ペアであること。赤いこと。これは無言劇と共通している。おそらくは他の作品とも。
メモ2:赤と言えばトランペットの赤…10月1日には完成させたいと思っています。