不幸の手紙異聞

 翻訳が滞る訳者に不幸の手紙を送りつけるという、社名は厳秘のとある出版社であるが、先日さらにおそろしい話を聞いた。本当か嘘かわからないのだが、拙豚が高校生のときに社長だった方が、拙豚が還暦をこえた今も社長をされているという。すると不老不死であらせられるのか。それとも妖怪変化のたぐいか。もしこの噂が本当なら、さしずめ月刊ムーの記事になりそうな不思議な話ではなかろうか。

 そればかりではない。何十年も前に亡くなった人を降霊術で呼び出して文豪傑作選を編ませるとか、空飛ぶ円盤を真面目に考察した本を出すとか、蠟でできた本を骸骨の人が出すとか、帯が伏せ字になっているとか、全宇宙が待望しているとか、不思議な噂が絶えないのだが、先日ついにその報いが来たのか、アルゼンチンから不幸の手紙が舞い込んだという。

 アルゼンチンといえば、月刊ムーの記事によれば、ナチスの残党がUFOの秘密基地を作っているらしい。さらに武田崇元氏によれば、UFOの建造にはアルデバラン星人が協力しているという。これは大変なことになった。まごまごしてるとアルデバラン星人の円盤が社の上空に飛来してしまう。何かが空を飛んでいる本*1なんか出すんじゃなかった! と思ってももう遅い。

 おそるおそる手紙を開けてみると、あにはからんや、「お前のところの本の装丁はすばらしい!!!」という大絶讃の手紙だった。一同はほっと胸をなでおろしたという。
 

*1:別に提灯を持つわけじゃないですが、これは百年に一度の名著ですよ。言葉では表現できないものをギリギリ言葉で表現しているのがすばらしい