あとのあとになって

 「あとになって」と題したほぼ一年前の日記で、鈴木信太郎訳ヴィヨンの「疇昔の美姫の賦」の中の「疇昔」の読みがわからないという話をした。どういうわけか現行の岩波文庫『ヴィヨン全詩集』では「疇昔」にルビをふっていないのである。

 ところが押し迫る年末に向けて書庫の整理をしていたら、鈴木信太郎著『詩人ヴィヨン』(岩波書店、昭30)という本が出てきた。そこでは嬉しいことに、「疇昔」にルビがふってあった!


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 なるほど「いにしへ」だったのか……。でも言うてはなんだが、「いにしへ」だとあまり面白くはないね。やはりここは「そのかみ」でないと。でもこれが最終稿とはかぎらない。この後で「そのかみ」に変えた可能性は残っている。いやそうであってほしい。