『記憶の図書館』アマゾンで予約開始


 『記憶の図書館』のアマゾン予約がはじまりました。国書税厳しき折、恐縮ですがなにとぞご自愛を、じゃなくてもしよろしければ購入していただければとてもありがたいです。内容は価格をはるかに上回るというか、訳者が言うのもなんですが、この程度の値段なら内容にくらべればタダも同然ではないでしょうか。

 この本を出す話がはじまったのは二年前の夏、コロナのコの字もなかったのどかな時代のことでありました。国書I氏から「エージェントからこれこれの本(『記憶の図書館』の原本)の紹介が来たけどお前知ってるか」とメールが来たのです。その本にはたまたま目を通していたので「これはすばらしい本ですよ」と返信すると、「そんならお前が訳せ」とすかさずまたメールが届きました。

 それから日ならずして、版権が取れたという連絡とともに、原著三冊がドチャッと届けられたのであります。四百字詰め原稿用紙にして二千枚になんなんとする本の翻訳が、なんとメール一往復半で決まってしまったんですよ。恐ろしいではありませんか。むかし澁澤龍彦が石井恭二と古典文庫の打合せをしていたとき、その場で巖谷國士に電話をかけて『四運動の理論』の翻訳を依頼したという伝説がありますけれど、スピード感だけでいえばそれに劣らぬものがあります。

 それでこのブログの2020年12月30日の日記にありますように、去年の年末に一応訳了して送付しました。ただ訳文がまだ気にくわず、訳稿を取り戻してポチポチ直していた今年三月のこと、I氏からまたもや衝撃の知らせがありました。エージェントとの契約上五月までに出版しないといけないというのです。(続く、かもしれません)